会社から携帯が支給されないのに、仕事の通信料を自腹で払っている——これって普通のこと?

立て替えてくれる会社もあれば、まったく何も出ない会社もあります。個人スマホの業務利用と費用負担について、法律・公的ガイドラインはどう言っているのかを整理し、会社に請求できるのか/自衛するにはどうすればいいのかをまとめました。


携帯を支給してくれない会社はブラック企業なのか?

「会社から携帯が支給されないせいで、毎月データ容量を追加購入するはめに…」
「せめて仕事で使った通話料・通信料くらいは会社に払ってほしい」

この記事にたどり着いた方は、こんな悩みを抱えているのではないでしょうか。

2022年にMMD研究所が大企業・中小企業の経営者・従業員7,115人を対象に実施した『2022年法人向け携帯電話の利用実態調査』では、会社から支給された携帯電話を利用しているのは大企業42.1%、中小企業30.4%という結果でした。一方、個人の携帯を仕事でも利用しているのは大企業58.0%、中小企業62.2%

会社利用の携帯電話に関する調査結果(2022年・MMD研究所)

つまりおよそ6割の人が、自分のスマホを仕事でも使っているということです(2022年調査時点)。

参考元:2022年法人向け携帯電話の利用実態調査(MMD研究所)

ここからわかるのは、「個人スマホの業務利用」自体は珍しくないということ。ただし「よくあること=適法・問題なし」ではありません。ポイントは費用の負担ルールが決められているかどうかです(後述します)。

会社から携帯を支給されず、高い通信費を負担している人の声も見てみましょう。

会社支給の携帯と個人スマホ、どちらがいい?

一方で、「会社から携帯を支給されるのは嫌」という人もいます。

https://twitter.com/sakuradenbu_/status/1562443434484731904

仕事で利用する携帯電話への不満点(2022年・MMD研究所)

単純にどちらが良いとは言えないので、メリット・デメリットを整理してみます。

使い方メリットデメリット
個人のスマホを仕事でも使う1台持ちで済む/使い慣れている通話料・通信料が自己負担になりがち/仕事とプライベートの切り替えがしにくい/紛失・故障時のダメージが大きい
会社支給の携帯を使う通信費を個人で負担せずに済む/仕事と私用を分けられる/片方を失っても被害が半分で済む2台持ちが面倒/紛失・破損に気を使う

「会社の携帯だと休日も電話に出なければならない」という声もありますが、それは個人スマホでも同じです。むしろ個人スマホは、仕事で使った通話料・追加データ代がすべて自分に降りかかってくる点が大きな痛手です。お金を稼ぐために働いているのに、逆に持ち出しが増える——この矛盾こそ、多くの人がモヤモヤしている理由でしょう。

実例:携帯が支給されず、個人スマホで困ったこと

新卒で入社したAさんの会社では、一部の社員にしか携帯が支給されませんでした。営業職だったAさんは、自分のスマホを仕事でも使うことに。

入社前は月5GBで十分だったのに、常時飛び交うチャットや大量の業務メールを外出先で確認していたところ、2週間ほどで5GBを使い切って通信制限に。

先輩に同行中、「電車の乗り換えを調べて」と言われても通信制限で調べられない。訪問先の情報も検索できない。「すみません、通信制限で調べられません」と伝えると、盛大なため息が返ってきました

さらに、外出先でテザリングして社内VPNに接続するよう指示されたことも。自腹のデータを消費するうえ、また制限がかかる——結局、自費で追加のデータ容量を購入して乗り切りました。

労働の対価として給料を受け取る関係のはずが、精神もお金も消耗する。せめて追加購入したデータ代くらいは会社に負担してほしい——そう思うのは自然なことです。

仕事で使った通信料は会社に請求できる?(法律・公的ガイドライン)

結論から言うと、「会社が費用を負担すべきか」は、労使の取り決め(就業規則など)がどうなっているかが出発点になります。

ポイント①:労働者に費用を負担させるなら、就業規則に定めが必要

厚生労働省のテレワークガイドラインでは、労働者に情報通信機器・作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は、その事項を就業規則に規定しなければならない(労働基準法第89条第5号)と説明されています。

つまり、「個人のスマホを業務に使わせ、その費用を従業員に負担させる」なら、会社は就業規則等でルールを定めておく必要があるということです。

ポイント②:費用負担のルールは、あらかじめ労使で話し合うことが望ましい

同ガイドラインは、在宅勤務などで通話料・インターネット利用料といった通信費が増える場合、どちらがどのように負担するのか、会社が負担する場合の限度額、労働者が請求する場合の請求方法などを、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則等に定めておくことが望ましいとしています。

厚労省のテレワーク総合ポータルでも、「テレワークに関わる費用について、労働者に過度な負担が生じることは望ましくない」と明記されています(費用負担に関するQ&A)。

ポイント③:実際に請求できるのかは個別判断

法律相談サイト弁護士ドットコムに寄せられた類似の相談(「個人の携帯電話。10年間の使用料を請求出来ますか?」「個人所有携帯電話での業務使用の強要」)では、弁護士から次のような考え方が示されています。

  • 会社が個人所有の携帯を業務に使わせるには、就業規則などの根拠が必要
  • 本来会社が負担すべき費用を従業員に負担させている場合、返還を請求できる余地がある
  • 業務に必要な経費を立て替えた形なら、会社に立替金として請求しうる

※ただし、実際に請求が認められるかは契約内容・業務実態・立証できる資料によって変わります。本記事は法律相談ではありませんので、金額が大きい場合や交渉がこじれた場合は、労働基準監督署や弁護士など専門家にご相談ください。

会社に通信費を請求できるか考えるイメージ

ネット回線の先生ネット回線の先生

大事なのは「制度としてどうなっているか」です。就業規則や経費規程に個人スマホの業務利用と費用負担の定めがあるか、まず確認してみましょう。定めがないのに費用だけ押し付けられているなら、交渉の余地は十分あります。

会社と交渉する前にやっておくこと

いきなり「法律ではこうです!」と切り出しても、「みんな我慢してる」とかわされてしまうのが現実です。順番に足場を固めましょう。

ステップやることポイント
1. 制度を確認就業規則・経費規程・テレワーク規程を読む個人スマホの業務利用と費用負担の記載があるかを確認。記載がなければ交渉材料になる
2. 記録を残す通信料の請求書・利用明細を保存する業務利用の割合がわかる資料(通話履歴・追加データ購入履歴)が証拠になる
3. 相談するまずは上長・総務・人事へ「経費精算できないか」と打診感情論ではなく「業務に必要な費用の精算」として持ちかけるのがコツ
4. それでも難しければ労働基準監督署・弁護士などに相談金額が大きい・強要されている場合は専門家へ

【現実的な自衛策】自腹の追加データ代をゼロにする

交渉には時間がかかりますし、立場的に言い出しにくいこともあります。「今月もまた通信制限…」という消耗をすぐ止めたいなら、データ容量無制限のWiFi(WiMAX)を1台持つのが現実的な解決策です。

スマホのテザリングに頼らずWiFiルーター側の回線を使えば、スマホの契約データを消費せずに済み、追加購入のムダな出費がなくなります。

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※キャンペーン内容・料金・適用条件は変更されます。申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

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よくある質問

Q. 個人スマホの業務利用を断ることはできますか?

A. 就業規則や労働契約に個人スマホの業務利用に関する定めがない場合、断る余地はあります。まずは規程を確認し、会社に「業務用の端末または費用負担をお願いしたい」と申し出るのが現実的です。判断に迷う場合は専門家にご相談ください。

Q. 会社が「通信費は給料に含まれている」と言っています。

A. 費用負担のルールは、あらかじめ労使で話し合い、就業規則等に定めておくことが望ましいとされています(厚労省テレワークガイドライン)。まずは規程にどう書かれているかを確認しましょう。

Q. どこまで請求できますか?

A. 業務利用分をどう按分するかは会社ごとのルール次第です。通話明細・追加データ購入履歴など業務利用がわかる資料を残しておくことが、話し合いの土台になります。

Q. 通信制限を今すぐ何とかしたいです。

A. 会社との交渉と並行して、データ無制限のWiFiルーターを用意するのが即効性のある対処です。スマホの契約容量を業務で削られなくなり、私用の通信も守れます。

まとめ

  • 個人スマホの業務利用は珍しくない(2022年調査で約6割)。ただし「よくある=問題なし」ではない
  • 労働者に費用を負担させる定めをするなら、就業規則への規定が必要(労基法89条5号・厚労省ガイドライン)
  • 費用負担・請求方法はあらかじめ労使で話し合い、規程に定めておくことが望ましいとされている
  • 交渉するなら請求書・利用明細を保存し、経費精算として持ちかける。難しければ労基署・弁護士へ
  • 目先の出費を止めるなら、データ無制限のWiFiを1台持つのが現実的な自衛策

会社への不満はすぐには解消できなくても、「毎月の通信制限と追加課金」というストレスは今日から減らせます。できるところから手を打っていきましょう。