光回線の上り・下り速度を上げるには、どこから手を付ける?
「光回線にしたのに思ったほど速くない」「夜になると動画が止まる」——そんなときに効くのは、実は回線そのものより手元の環境の見直しだったりします。
この記事では、上りと下りの違いを押さえたうえで、今日から試せる改善策を手軽な順にまとめました。最後に、それでも足りないときのプラン変更・乗り換えの考え方まで紹介します。
「上り」と「下り」は何が違うのか
上りはアップロード、つまり手元のデータをネット側へ送る通信。下りはダウンロード、ネット側のデータを受け取る通信です。単位はどちらも『bps』で、数字が大きいほど1秒間に多くのデータを運べる=速いと考えて差し支えありません。
もうひとつ、PING値(応答速度)という指標もあります。これは「送ってから返事が返るまでの時間」で、単位はミリ秒(ms)。数字が小さいほど反応が速いので、対戦ゲームではこちらが効いてきます。
いまの自分の数値がわからない方は、測り方をこちらの記事にまとめています。
測るときの3つのコツ
速度は測るたびに数字が変わります。1回だけ測って一喜一憂しても意味がないので、次の3点を守ると「本当に遅いのか」「何が原因か」がつかめます。
- 有線とWi-Fiの両方で測る…どちらが足を引っ張っているかが分かります
- 時間帯を変えて数回測る…昼と夜で差が出るなら混雑が原因です
- 複数のサイト・アプリで測る…測定先のサーバー混雑で数字がぶれるため、傾向で判断します
スマホなら「Speedtest」などのアプリ、動画の体感に近い数字を見たいなら「FAST.com」といった使い分けもできます。
自分に必要な速度から逆算する
速度は「速ければ速いほどいい」のは確かですが、必要な水準を超えたぶんは体感が変わりません。目安として、Webの閲覧や標準画質の動画中心なら下り10〜30Mbps程度で十分に快適です。
高画質の動画配信、オンライン会議、大容量のゲームのダウンロードを気持ちよくこなしたいなら、下り30Mbps以上を目標にすると安心でしょう。
| 使い方 | 下り速度の目安 | メモ |
|---|---|---|
| Webの閲覧・SNS・メール | 1〜10Mbps | ほとんどの回線で足りる |
| 標準画質の動画視聴 | 3〜10Mbps | 止まるならWi-Fi側を疑う |
| 高画質(4K)の動画視聴 | 25Mbps前後〜 | 推奨値はサービスごとに異なる |
| ビデオ会議 | 上り下りとも5〜10Mbps | 上りも使う数少ない場面 |
| オンラインゲーム | 30Mbps程度+PING値 | 対戦ゲームはPING 50ms以下が目安 |
| 大容量ゲームのダウンロード | 速いほど待ち時間が短い | 就寝中に予約すると混雑を避けられる |
あくまで目安です。各サービスが公表している推奨速度は個別に異なるので、特定のサービスで困っているときは、そのサービスの公式ヘルプで推奨値を確認してください。
上り速度が効いてくる使い方
ふだんの利用は下りが中心です。サイトを見る、アプリを入れる、動画を見る——これらはすべて下りを使います。上りを使うのはメールの送信やファイルのアップロードで、頻度としては多くありません。
ただし、次のような使い方をするなら上り速度も意識する価値があります。
- 撮った写真・動画をクラウドに自動保存している
- ビデオ会議で自分の映像を送る時間が長い
- 動画投稿・ライブ配信をしている
測定すると上りのほうが遅く出るのが一般的ですが、上の使い方をしないのであれば、そこは気にしなくて構いません。
速度が出ない理由は、回線だけではない
契約の最大値は「上限」であって「保証」ではない
光回線はベストエフォート方式です。契約時に示される「最大1Gbps」などの数字は理論上の上限で、常にその速度が出るという意味ではありません。
そして上限を超えて速くなることは絶対にありません。最大100Mbpsのプランなら、どんなに環境を整えても100Mbpsが天井です。「遅い」と感じたら、まず自分の契約プランの上限を確認してみてください。
夜だけ遅いのは、混雑している時間帯だから
一般的な光回線は、回線の帯域を地域の利用者で分け合う仕組みです。大きな貯水槽の水を何人でシェアするかを想像すると分かりやすいでしょう。使う人が増えるほど、1人あたりの取り分は細くなります。
学校や仕事が終わる夕方から夜にかけて遅くなりやすいのはこのためです。「遅い」と感じたときは、時間帯もセットで記録しておくと原因の切り分けに役立ちます。
集合住宅は「建物内の配線方式」で上限が決まる
マンションやアパートでは、建物までの光回線を住人で共有します。さらに建物内の配線方式(光配線方式/VDSL方式/LAN方式)によって上限が変わります。
VDSL方式は建物内を電話回線で配線するため、100Mbps程度が上限になることがあります。この場合、どんなに機器を新しくしても頭打ちです。速度が伸びないマンションでは、管理会社や回線事業者に配線方式を確認してみましょう。
VDSL方式だと分かったときに打てる手は、おおむね次の3つです。
- 建物の光配線方式への切り替え予定を管理会社に確認する…住民からの要望で更新が進むこともあります
- 戸建てタイプの回線を自室に個別に引けないか相談する…建物の構造とオーナーの許可しだいですが、可能な場合があります
- ホームルーター(5G)など、建物内の配線を使わない選択肢を検討する…工事が要らないぶん導入は早いですが、電波状況に左右されます
今日からできる改善策を、手軽な順に
1. ONU(モデム)とルーターを再起動する
まず試したいのがONU(光回線終端装置)とルーターの再起動です。長期間つけっぱなしにしていると内部に熱がこもり、動作が不安定になることがあります。
電源を抜き、ケーブルを外して数分置いてから戻すと、状態がリセットされて速度が戻ることがあります。「なんだかおかしい」と思ったら、まずこれと覚えておいてください。
手順はかんたんです。
- ONU・ルーターの電源を抜く(つないでいるケーブルもいったん外す)
- そのまま5分ほど放置する(内部に溜まった電気を逃がす=放電)
- ONU → ルーター → 端末の順に電源を戻す
電源を入れる順番がばらばらだと、うまくつながらないことがあります。回線に近いほうから順に戻すのがコツです。ONUとルーターが一体型の機器(ホームゲートウェイ)の場合も、やり方は同じで構いません。
2. 有線でも測って、原因の場所を絞る
Wi-Fiは有線より遅くなるのが普通です。だからこそ、LANケーブルで直接つないだ状態でも測ってみると切り分けができます。
- 有線にすると速い → 原因はWi-Fi側(ルーターの性能・置き場所・端末)
- 有線でも変わらない → 原因は回線側やプロバイダ側の可能性が高い
ここが分かるだけで、次に何を触ればいいかが決まります。
3. LANケーブルの「カテゴリ」を確認する
有線で使っているのに遅い場合、ケーブルが足を引っ張っていることがあります。LANケーブルには通信速度の上限を決める「カテゴリ(CAT)」という規格があり、目安は次のとおりです。
| 契約している回線 | 必要なカテゴリの目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 最大1Gbpsのプラン | CAT5e以上 | 古い「CAT5」だと頭打ちになることがある |
| 最大10Gbpsのプラン | CAT6A以上 | ケーブルが古いと10ギガの意味がなくなる |
カテゴリはケーブルの側面に印字されています。何年も同じケーブルを使っているなら、確認してみる価値は十分にあります。
4. ルーターの置き場所と電波干渉を見直す
Wi-Fiの電波は、障害物と他の電波に弱いという性質があります。金属や水まわりのそば、床置き、電子レンジの近くは避けたい場所です。
端末とルーターの距離が離れすぎている場合は、中継機やメッシュWi-Fiという手もあります。ただし買う前に、ルーターのすぐそばで測って速度が出るかを確かめてください。近づけても速くならないなら、原因は距離ではなくルーター本体です。
中継機とメッシュWi-Fiは似ていますが、性格が違います。中継機は「電波の届かない一角に届かせる」ための足し算、メッシュWi-Fiは家全体を一つの網でカバーし直す考え方です。ワンルームなら中継機で十分なことが多く、二階建てや広い間取りではメッシュのほうが素直に効きます。
置き場所の詳しい条件は、こちらの記事で整理しています。
4-2. つないでいる周波数帯(2.4GHz/5GHz)を見直す
Wi-Fiには主に2.4GHz帯と5GHz帯があり、対応機器では6GHz帯も使えます。性格が違うので、つなぎ分けるだけで体感が変わります。
| 周波数帯 | 得意なこと | 弱点 |
|---|---|---|
| 2.4GHz帯 | 壁や床を回り込み、遠くまで届く | 電子レンジなどと干渉しやすく、速度が伸びにくい |
| 5GHz帯 | 干渉が少なく速度が出やすい | 障害物に弱く、距離が離れると届きにくい |
| 6GHz帯(Wi-Fi 6E/7) | 空いていて混雑に強い | ルーターと端末の両方が対応している必要がある |
ルーターの近くで使う端末は5GHz帯、離れた部屋のスマホは2.4GHz帯——というように、同じルーターでも接続先(SSID)を選び直すだけで改善することがあります。
5. ルーターの規格(世代)を確認する
Wi-Fiルーターには世代があり、現在広く使われているのはWi-Fi 6(11ax)、6GHz帯にも対応するWi-Fi 6E、そして最新のWi-Fi 7(11be)です。Wi-Fi Allianceの認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 7」は2024年1月に始まり、対応機器も増えてきました。
ただし注意点があります。ルーターだけ新しくしても、スマホやパソコン側が同じ規格に対応していなければ性能は出ません。買い替える前に、手持ちの端末が何に対応しているかを確認しておきましょう。
6. IPv6(IPoE)接続に切り替える
「夕方から夜だけ極端に遅い」なら、これがいちばん効く可能性があります。従来のIPv4(PPPoE)方式は、夜間に混雑しやすい中継ポイントを通るのが弱点。IPv6(IPoE)方式はそこを通らずに接続できるため、同じ回線でも安定しやすくなります。
ポイントは、「IPv6にした」だけでは速くならないこと。ふだん使うIPv4のサイトも快適にするには「IPv4 over IPv6」への対応が要ります。契約中のプロバイダが提供しているか、ルーターが対応しているかを確認してください。
>IPv6 IPoEとは?PPPoEとの違い・必要な条件をやさしく解説
6-2. PING値が高い(反応が鈍い)ときにできること
対戦ゲームやビデオ会議で「速度は出ているのに引っかかる」ときは、速度よりPING値の問題です。手を打つならこの3つです。
- 有線でつなぐ…もっとも効果が大きく、確実です
- 混雑する時間帯を避ける…同じ回線でも夜間は反応が鈍くなりがちです
- 同じ回線を使う他の通信を止める…家族の大容量ダウンロードが動いていないか確認します
PING値は回線の物理的な距離やサーバーの場所にも左右されるため、機器を替えれば必ず下がるとは限らない点は知っておきましょう。
7. 使っている端末そのものを疑う
ここまでやっても遅いなら、受け取る側の端末が原因かもしれません。古いパソコンやスマホは、内蔵しているWi-Fi機能自体が古い規格で止まっています。
とはいえ端末の買い替えは費用がかかるので、1〜6を試したうえで最後に検討するのが順番としておすすめです。
それでも足りないなら、プラン変更か乗り換え
環境を整えても満足できない場合は、契約そのものを見直す番です。
最大100Mbps・200Mbpsといった旧来のプランを使い続けているなら、1Gbpsのプランへの変更で大きく変わる可能性があります。提供エリアであれば最大10Gbpsのプランも選べます。
ただし、速いプランほど月額料金は上がります。さらに10ギガは、ルーター・LANケーブル・端末のすべてが対応していないと本来の速度になりません。「回線だけ10ギガ」では効果が出ない点に注意してください。
回線設備は同じでも、プロバイダによってIPoEへの対応状況や設備の規模は違います。プロバイダを変えるだけで改善することもあるので、乗り換えは有力な選択肢です。手間はかかりますが、遅い回線に毎月お金を払い続けるよりは前向きな解決になります。
乗り換える前に確認したい3点
- 工事が必要かどうか…同じNTT系の回線を使う光コラボ同士なら、原則として工事なしで移れます(転用・事業者変更)。独自回線へ移る場合は新規工事になります
- 解約金と工事費の残債…工事費を分割で払っている途中なら、解約時に残額の支払いが発生します
- プロバイダのメールアドレス…解約すると使えなくなることがあります。会員登録などに使っている場合は、先に変更しておきましょう
「速くなるかどうか」だけでなく、乗り換えにかかる費用と手間を差し引いて判断するのが失敗しないコツです。
光回線の速度についての口コミ
BNRスピードテスト(インターネット通信速度)
— 弁理士 馬場信幸 (@baba_pa) May 13, 2021
測定日時: 2021年05月14日(金) 01時58分42秒
測定結果: 76.39Mbps
この時間にVPN経由だと速度が出ているということは、やはり回線が悪いかな。改善しようがなさそう
https://twitter.com/KickOsaka/status/1392826876603736065
自宅回線の通信速度が遅すぎて退勤処理できない話。3Mbpsて草枯れる
— スヴェン (@thune0) May 20, 2021
上り・下り速度について、よくいただく質問
Q. 上りが下りよりずっと遅いのですが、故障でしょうか?
いいえ。多くのサービスは下り重視で設計されているため、上りが遅く出るのは通常のことです。クラウド保存やビデオ会議で困っていないなら、気にする必要はありません。
Q. 1Gbpsの契約なのに、実測が200Mbps台です。おかしいですか?
おかしくありません。1Gbpsは理論上の上限で、実測はWi-Fi・端末・時間帯の影響を受けます。用途に必要な速度(多くの家庭では30Mbps程度)が出ていれば実用上は十分です。
Q. 10ギガのプランに変えれば、必ず速くなりますか?
いいえ。ルーター・LANケーブル(CAT6A以上)・端末が10ギガに対応していないと、そこが上限になります。回線だけ変えても効果が出ないことがあるので、機器の対応状況を先に確認してください。
Q. Wi-Fi 7のルーターに買い替えれば、手持ちのスマホも速くなりますか?
スマホ側がWi-Fi 7に対応していなければ、その規格の恩恵は受けられません。ただし同時接続の処理能力が上がることで、家全体の混雑が緩和される効果は期待できます。
Q. 上り速度だけを速くする方法はありますか?
上りだけを個別に上げる設定はありません。有線接続にする、IPv6(IPoE)に切り替える、混雑する時間帯を避けるといった、上り・下り共通の改善策が結果的に効きます。
まとめ
光回線の速度は、契約プランの上限を超えることはできません。それでも、手元の環境を整えるだけで体感が変わる余地はかなりあります。
順番としては、
- まずONU・ルーターの再起動と有線での切り分け
- 次にLANケーブルのカテゴリとルーターの置き場所・規格
- 夜だけ遅いならIPv6(IPoE)への切り替え
- それでも足りなければプラン変更・プロバイダの乗り換え
この流れで進めるのが、お金をかけずに効果を出す近道です。プランや対応状況は変わることがあるので、申し込みの前に各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
1位 auひかり
2位 ドコモ光
3位 SoftBank光



