光回線の上り・下りを速くするなら手元の機器から見直す

光回線が遅いときは、回線そのものより家の中の機器や接続方法が原因になっていることが多いです。ONUとルーターの再起動、有線での切り分け、LANケーブルとルーターの見直し、IPv6(IPoE)への切り替えの順に試すと、お金をかけずに改善できる可能性があります。

それでも足りないときに、プラン変更や乗り換えを考えれば十分です。ここでは上りと下りの違いを押さえてから、手軽な対策を順番に紹介します。



上りと下りの違い

上りはアップロード、手元のデータをネット側へ送る通信です。下りはダウンロードで、ネット側のデータを受け取る通信を指します。単位はどちらもbpsで、数字が大きいほど1秒間に多くのデータを運べます。

もうひとつ、PING値(応答速度)という指標もあります。送ってから返事が戻るまでの時間で、単位はミリ秒(ms)です。数字が小さいほど反応が速く、対戦ゲームではこちらの数字が快適さを大きく左右します。

上りが下りよりずっと遅く出ても、故障とは限りません。多くのサービスは下りを重視して作られているので、上りが遅いのはよくあることです。

今の数値を知りたい人は、測り方を次の記事にまとめています。

>フレッツ光の速度測定サイトと使い方|遅い原因の切り分け方

測るときの3つのコツ

速度は測るたびに数字が変わります。次の3点を守ると、本当に遅いのか、どこが原因なのかがつかみやすくなります。

  • 有線とWi-Fiの両方で測る(どちらが足を引っ張っているかが分かる)
  • 時間帯を変えて数回測る(昼と夜で差が出るなら混雑が原因)
  • 複数のサイトやアプリで測る(測定先の混み具合で数字がぶれるため)

スマホならSpeedtestなどのアプリ、動画の体感に近い数字を見たいならFAST.comと使い分けるのもおすすめです。

必要な速度は使い方から逆算する

速いほどよいのは確かですが、必要な水準を超えた分は体感がほとんど変わりません。Webの閲覧や標準画質の動画が中心なら、下り10〜30Mbps程度で十分快適です。

高画質の動画やオンライン会議、大容量のゲームのダウンロードをこなすなら、下り30Mbps以上を目安にすると安心ですね。

使い方下り速度の目安メモ
Webの閲覧・SNS・メール1〜10Mbpsほとんどの回線で足りる
標準画質の動画視聴3〜10Mbps止まるならWi-Fi側を疑う
高画質(4K)の動画視聴25Mbps前後〜推奨値はサービスごとに異なる
ビデオ会議上り下りとも5〜10Mbps上りも使う数少ない場面
オンラインゲーム30Mbps程度+PING値対戦ゲームはPING 50ms以下が目安
大容量ゲームのダウンロード速いほど待ち時間が短い就寝中に予約すると混雑を避けられる

あくまで目安です。動画やゲームのサービスごとに推奨速度は違うので、特定のサービスで困っているときは、そのサービスのヘルプで推奨値を見ておくと話が具体的になります。

上り速度が効いてくる使い方

ふだんの利用は下りが中心です。サイトを見る、アプリを入れる、動画を観るのはすべて下りを使います。上りを使うのは、メールの送信やファイルのアップロードくらいです。

ただし、次のような使い方をしているなら上りも意識する価値があります。

  • 撮った写真や動画をクラウドに自動で保存している
  • ビデオ会議で自分の映像を送る時間が長い
  • 動画投稿やライブ配信をしている

上りだけを個別に速くする設定はありません。有線接続やIPv6(IPoE)への切り替えといった、上り下り共通の対策が結果的に効きます。

速度が出ない理由は回線だけではない

契約の最大値は上限であって保証ではない

光回線はベストエフォート方式です。「最大1Gbps」などの数字は理論上の上限で、いつもその速度が出るという意味ではありません。

そして、上限を超えて速くなることはありません。最大100Mbpsのプランなら、どれだけ環境を整えても100Mbpsが天井です。遅いと感じたら、まず契約プランの上限を確認してください。

1Gbpsの契約で実測が200Mbps台でも、珍しいことではありません。Wi-Fiや端末、時間帯の影響を受けるからです。総務省が2021年度に行った実証でも、上限速度と実効速度には大きな開きがあると報告されています。用途に必要な速度が出ていれば、実用上は問題ありません。

夜だけ遅いのは混雑する時間帯だから

一般的な光回線は、回線の帯域を地域の利用者で分け合う仕組みです。大きな貯水槽の水を何人で分けるかを想像すると分かりやすいでしょう。使う人が増えるほど、1人あたりの取り分は細くなります。

仕事や学校が終わる夕方から夜にかけて遅くなりやすいのはこのためです。遅いと感じたら、時間帯もいっしょに記録しておくと原因を絞りやすくなります。

集合住宅は建物内の配線方式で上限が決まる

マンションやアパートでは、建物までの光回線を住人で共有します。さらに、建物内の配線方式(光配線方式・VDSL方式・LAN方式)によって上限が変わります。

VDSL方式は建物内を電話回線で配線するため、100Mbps程度が上限になることがあります。この場合、どれだけ機器を新しくしても頭打ちです。VDSL方式だと分かったときの打ち手は、主に次の3つです。

  • 建物を光配線方式に切り替える予定がないか管理会社に聞く
  • 戸建てタイプの回線を自室へ個別に引けないか相談する(建物の構造とオーナーの許可しだい)
  • ホームルーター(5G)など建物内の配線を使わない方法を検討する(工事は不要だが電波状況に左右される)

今日からできる改善策を手軽な順に

1. ONUとルーターを再起動する

最初に試したいのが、ONU(光回線終端装置)とルーターの再起動です。長くつけっぱなしにしていると内部に熱がこもり、動きが不安定になることがあります。手順は次のとおりです。

  1. ONUとルーターの電源を抜き、つないでいるケーブルもいったん外す
  2. そのまま5分ほど置いて、内部にたまった電気を逃がす
  3. ONU、ルーター、端末の順に電源を戻す

電源を入れる順番がばらばらだと、うまくつながらないことがあります。回線に近い機器から順に戻すのがコツです。ONUとルーターが一体になったホームゲートウェイでも、やり方は同じです。

2. 有線でも測って原因の場所を絞る

Wi-Fiは有線より遅くなるのがふつうです。だからこそ、LANケーブルで直接つないだ状態でも測ると切り分けができます。

  • 有線にすると速い場合は、Wi-Fi側(ルーターの性能・置き場所・端末)が原因
  • 有線でも変わらない場合は、回線側やプロバイダ側の可能性が高い

ここが分かるだけで、次に触るべき場所が決まります。

3. LANケーブルのカテゴリを確認する

有線なのに遅い場合は、ケーブルが速度の上限を決めていることがあります。LANケーブルにはカテゴリ(CAT)という規格があり、目安は次のとおりです。

契約している回線必要なカテゴリの目安ひとこと
最大1GbpsのプランCAT5e以上古いCAT5だと頭打ちになることがある
最大10GbpsのプランCAT6A以上ケーブルが古いと10ギガの意味がなくなる

カテゴリはケーブルの側面に印字されています。何年も同じケーブルを使っているなら、一度見ておく価値はあります。

4. ルーターの置き場所と電波の干渉を見直す

Wi-Fiの電波は、障害物とほかの電波に弱い性質があります。金属や水まわりのそば、床置き、電子レンジの近くは避けたい場所です。

端末とルーターが離れすぎているなら、中継機やメッシュWi-Fiという手もあります。買う前に、ルーターのすぐそばで測って速度が出るかを確かめてください。近づけても速くならないなら、原因は距離ではなくルーター本体です。

中継機は電波の届かない一角へ届かせるための機器で、メッシュWi-Fiは家全体をひとつのネットワークで覆い直す仕組みです。ワンルームなら中継機で足りることが多く、2階建てや広い間取りではメッシュのほうが効きやすいです。

置き場所の詳しい条件は次の記事で整理しています。

>Wi-Fiルーターの置き場所|避ける物と満たす3条件

5. つないでいる周波数帯を見直す

Wi-Fiには主に2.4GHz帯と5GHz帯があり、対応機器なら6GHz帯も使えます。性格が違うので、つなぎ分けるだけで体感が変わることがあります。

周波数帯得意なこと弱点
2.4GHz帯壁や床を回り込み、遠くまで届く電子レンジなどと干渉しやすく、速度が伸びにくい
5GHz帯干渉が少なく速度が出やすい障害物に弱く、離れると届きにくい
6GHz帯(Wi-Fi 6E/7)空いていて混雑に強いルーターと端末の両方が対応している必要がある

ルーターの近くで使う端末は5GHz帯、離れた部屋のスマホは2.4GHz帯というように、接続先(SSID)を選び直すだけで改善することがあります。

6. ルーターの規格を確認する

今広く使われているのはWi-Fi 6(11ax)で、6GHz帯にも対応するWi-Fi 6E、最新のWi-Fi 7(11be)が続きます。Wi-Fi Allianceの認証プログラムWi-Fi CERTIFIED 7は2024年1月に始まり、2026年には1万円台の対応ルーターも増えました。

ただ、ルーターだけ新しくしても、スマホやパソコンが同じ規格に対応していなければ性能は出ません。とはいえ、同時接続の処理能力が上がることで家全体の混雑がやわらぐ効果はあります。機種選びはWi-Fiルーターの選び方とおすすめを参考にしてください。

7. IPv6(IPoE)接続に切り替える

夕方から夜だけ極端に遅いなら、ここがいちばん効く可能性があります。従来のIPv4(PPPoE)方式は、夜に混みやすい中継地点を通るのが弱点です。IPv6(IPoE)方式はそこを通らずにつなぐので、同じ回線でも安定しやすくなります。

注意したいのは、IPv6にしただけでは速くならない点です。ふだん使うIPv4のサイトも快適にするには、IPv4 over IPv6への対応が必要になります。契約中のプロバイダが提供しているか、ルーターが対応しているかを見てください。

>IPv6 IPoEとは?PPPoEとの違い・必要な条件をやさしく解説

8. PING値が高いときの対処

対戦ゲームやビデオ会議で、速度は出ているのに引っかかるなら、PING値の問題です。打てる手は次の3つです。

  • 有線でつなぐ(いちばん効果が大きく確実)
  • 混雑する時間帯を避ける
  • 同じ回線でほかの大きな通信が動いていないか確認する

PING値は回線の物理的な距離やサーバーの場所にも左右されます。機器を替えれば必ず下がるとは限りません。

9. 使っている端末そのものを疑う

ここまで試しても遅いなら、受け取る側の端末が原因かもしれません。古いパソコンやスマホは、内蔵のWi-Fi機能が古い規格のままです。端末の買い替えは費用がかかるので、ほかの対策を試したあとに考える順番がおすすめです。

契約前に見ておきたい実効速度の数字

回線を選び直すときは、最大速度だけでなく実効速度(実際に出る速度)の公表値も見ておくと比べやすくなります。総務省のインターネット接続サービスの品質測定の取組では、2024年9月に固定ブロードバンドの品質測定のガイドラインが策定されました。

ガイドラインでは、ルーターと端末を有線でつないだ状態で、毎時1回以上・1週間以上測ること、戸建てと集合住宅を分けて測ることなどが定められています。Wi-Fiの影響を除いた回線の素の実力に近い数字なので、自宅のWi-Fiでの実測と比べる物差しにもなります。

ただし、この結果を公表するかどうかは事業者の任意です。公表していない会社もあるので、比べるときは公表の有無と測定の条件をあわせて見てください。

それでも足りないならプラン変更か乗り換え

環境を整えても満足できないなら、契約そのものを見直す番です。最大100Mbpsや200Mbpsといった古いプランのままなら、1Gbpsのプランに変えるだけで大きく変わる可能性があります。提供エリアなら最大10Gbpsのプランも選べます。

ただし、速いプランほど月額は上がります。10ギガはルーター・LANケーブル・端末のすべてが対応していないと本来の速度にならないので、回線だけ10ギガにしても効果は出にくいです。

回線設備は同じでも、プロバイダによってIPoEへの対応や設備の規模は違います。プロバイダを変えるだけで改善することもあるので、乗り換えは有力な選択肢です。

乗り換える前に確認したい3点

  • 工事の有無(NTT系の光コラボ同士なら原則として工事なしで移れる。独自回線へ移る場合は新規工事)
  • 解約金と工事費の残り(工事費を分割で払っている途中なら残額の支払いがある)
  • プロバイダのメールアドレス(解約すると使えなくなることがある)

速くなるかどうかだけでなく、乗り換えにかかる費用と手間を差し引いて判断するのが失敗しない考え方です。メリットと注意点はプロバイダ乗り換えのメリット・デメリットで詳しく解説しています。

光回線の速度についての口コミ

https://twitter.com/KickOsaka/status/1392826876603736065

まとめ

光回線の速度は、契約プランの上限を超えることはありません。それでも、手元の環境を整えるだけで体感が変わる余地はかなりあります。進める順番は次のとおりです。

  1. ONU・ルーターの再起動と、有線での切り分け
  2. LANケーブルのカテゴリと、ルーターの置き場所・規格の見直し
  3. 夜だけ遅いならIPv6(IPoE)への切り替え
  4. それでも足りなければプラン変更やプロバイダの乗り換え

この流れなら、お金をかけずに効果を出せる可能性が高いです。料金やキャンペーンはよく変わるので、申し込む前に各社のページで今の条件を見てください。

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