以前、フリーWiFi(公衆無線LAN)にはハッキングされる危険性があることをお伝えしましたが、接続した端末を勝手に使って「仮想通貨のマイニング(採掘)」をさせる手口も報告されています。これはクリプトジャッキングと呼ばれる不正行為です。端末に負荷がかかり、発熱やバッテリーの劣化につながることもあるため、フリーWiFiの危険性と対策を、2026年7月時点の情報であらためて整理しておきましょう。



そもそもフリーWiFiはなぜ危険なの?

フリーWiFiは便利ですが、使い方を間違えると情報が漏れるリスクがあります。代表的なのが、端末とアクセスポイントの間の通信に第三者が割り込む「MITM攻撃(中間者攻撃)」です。暗号化されていない通信では、見ているサイトの内容や入力した情報が盗み見られるおそれがあります。

そのため、フリーWiFiに接続しているときは、SNSのログイン情報やクレジットカード番号などの重要な情報の入力は避けるのが基本です。入力する場合も、アドレスが「https://」で始まる(鍵マークが付いた)暗号化されたサイトかどうかを必ず確認しましょう。総務省も、公衆無線LAN利用時のセキュリティ対策を案内しています(参考:総務省 国民のための情報セキュリティサイト)。フリーWiFiの危険性についてはこちらの記事もあわせて参考にしてください。

「クリプトジャッキング」=勝手にマイニングさせられる手口

これまでフリーWiFiの脅威といえば「情報の抜き取り」が中心でしたが、仮想通貨が注目されるようになってから、他人の端末の処理能力(CPU)を無断で借りてマイニングを行う手口が広がりました。これがクリプトジャッキングです。

そもそもマイニングとは、ビットコインなどの取引を検証し、新しいブロックをブロックチェーンに追加する作業のことで、成功したマイナー(採掘者)が報酬を受け取れます。ただしビットコインのマイニング報酬は約4年ごとの「半減期」で減っていき、2024年4月20日の4回目の半減期以降は1ブロックあたり3.125BTCになっています。ビットコインの採掘には膨大な電力と専用の高性能マシンが必要で、いまや個人が普通のパソコンやスマホで採掘して利益を出すのは非現実的です。だからこそ、悪意ある人物は「他人の端末を無断で使う」方向に走るわけですね。

手口は「Webサイト型」から変化している

数年前に話題になったのは、あるWebサイトを訪れると、そこに仕込まれたスクリプトによって閲覧者のCPUが勝手にマイニングに使われる「ブラウザ(Webサイト)型」の手口でした。代表的だったマイニングスクリプト「Coinhive(コインハイブ)」は2019年3月にサービスを終了し、ブラウザ型のクリプトジャッキングはかつてより下火になっています。

ただし、クリプトジャッキングそのものが無くなったわけではありません。現在は、不正なアプリやマルウェアを端末にインストールさせてバックグラウンドで採掘させる手口などに形を変えて残っています。フリーWiFi経由で、途中に挟まれた不正なページを踏ませる、といった中間者攻撃と組み合わされる可能性も指摘されています。「昔のニュースだから安心」ではなく、今も仕組みを知って備えておくことが大切です。

端末への負荷と発熱には注意

クリプトジャッキングでいちばん困るのは「他人の金儲けに付き合わされること」だけではありません。マイニングはCPUをフルに使い続けるため、端末が発熱し、バッテリーに負担がかかります。スマホに使われているリチウムイオン電池は、過度な発熱や劣化が進むと、まれに膨張・発火といったトラブルにつながることもあります(過去にはサムスンの「Galaxy Note7」がバッテリー問題で回収された例もありました)。

ですから、心当たりがないのにスマホが妙に熱い・バッテリーの減りが急に早い・動作が重いといった症状が続くときは、不正なアプリやマイニングを疑ってみましょう。

勝手なマイニングから身を守るには

基本的な対策を押さえておけば、過度に怖がる必要はありません。次のポイントを意識しましょう。

  • 不要なときはWiFiをオフに:外出先で自動的に不明なフリーWiFiへつながらないよう、使わないときはWiFi接続を切っておく。
  • 信頼できるネットワークを使う:提供元がはっきりしないフリーWiFiは避け、必要なら短時間の利用にとどめる。
  • OS・アプリを最新に:端末のアップデートを適用し、公式ストア以外からアプリを入れない。
  • セキュリティアプリを活用:不正なマイニングスクリプトやマルウェアの検知に役立ちます。
  • 自分専用の回線を用意する:フリーWiFiに頼らず、モバイルルーター(ポケット型WiFi)を持ち歩けば、安全性はぐっと高まります。

ポケット型WiFiを選ぶなら、対応エリアが広く定番のWiMAX(現行はWiMAX +5G)が候補になります。契約する場合は、必ず端末側にもパスワードを設定し、他人に勝手に使われないようにしておきましょう。お得な使い方は以下の記事も参考にしてください。

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フリーWiFiを安全に利用するための方法はこちらの記事でも紹介しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 自分のスマホがマイニングに使われているか確認できますか?

A. 完全な断定は難しいですが、「充電していないのに本体が熱い」「バッテリーの減りが急に早くなった」「操作していないのに動作が重い・ファンが回る」といった症状はサインになり得ます。心当たりのない発熱が続く場合は、身に覚えのないアプリを削除し、セキュリティアプリでスキャンしましょう。

Q. ブラウザで少しWebを見ただけでもマイニングされますか?

A. 代表的だったブラウザ型スクリプト「Coinhive」は2019年に終了しており、ページを開いただけで採掘される事例はかつてより減っています。とはいえゼロではないため、怪しいサイトを長時間開きっぱなしにしない、セキュリティ対策を入れておく、といった基本対策は有効です。

Q. マイニングでスマホが本当に爆発することはある?

A. 「必ず爆発する」わけではありません。ただし継続的な高負荷は発熱・バッテリー劣化の原因になり、劣化したリチウムイオン電池が膨張・発火するリスクは一般的に存在します。異常な発熱・膨らみを感じたら使用を中止し、電源を切って、メーカーやショップに相談してください。

まとめ

フリーWiFiは、情報の盗み見(MITM攻撃)だけでなく、端末を勝手にマイニングに使うクリプトジャッキングのきっかけになることもあります。ブラウザ型の代表格Coinhiveは2019年に終了しましたが、手口は形を変えて残っています。不要なときはWiFiを切る、公式以外のアプリを入れない、端末を最新に保つ、そして自分専用の回線(ポケット型WiFiなど)を用意する——こうした基本を押さえて、安全にネットを楽しみましょう。もし身に覚えのない発熱や異臭を感じたら、すぐに電源を切って安全な場所に置き、早めに専門ショップに相談してください。