仮想通貨(暗号資産)は、インターネット上にデータとしてだけ存在するお金で、円やドルのように発行する国や中央銀行がありません。ビットコインはその1種類で、世界で最初に生まれた銘柄です。「怪しい」と感じるのは、この発行主体がいないという点が、私たちの知っているお金の常識から外れているからでしょう。

そして2026年、その扱いを定めるルール自体が動きました。暗号資産を金融商品取引法の対象に移す改正法が2026年7月23日に公布・成立し、施行を待っている状態です。仕組みを知っておくと、これから出てくるニュースの意味もつかみやすくなります。

なお、日本では法律上「仮想通貨」は現在「暗号資産」という呼び名が正式名称です(金融庁は「資金決済法の改正〈令和2年5月1日施行〉により、法令上、『仮想通貨』は『暗号資産』へ呼称変更されました」と案内しています)。この記事では読みやすさのため、一般に広く使われている「仮想通貨」の表記も併用します。



仮想通貨(暗号資産)とは

ビットコインやイーサリアムといった、インターネット上で利用できる通貨のことを「仮想通貨(暗号資産)」といいます。

「インターネット上で使えるお金」と聞くと、Suicaにチャージしたお金やオンラインゲームの通貨、クレジットカードのお金と何が違うの?と思いますよね。これらとの違いは後ほど解説します。まずは、仮想通貨がどのようなものなのか見ていきましょう。

仮想通貨の「仮想」ってどんな意味?

仮想通貨は、インターネット上で利用できるまったく新しいお金です。そして仮想通貨には、日本円やアメリカドルのように、実際に手に取れるコインや紙幣は存在しません。

なぜなら、仮想通貨はインターネット上にデータという形でしか存在しないお金だからです。ビットコインといっても、金貨のようなコインが実際に流通しているわけではありません。

また海外では、仮想通貨という言葉よりも「暗号資産・暗号通貨(Cryptocurrency)」という呼び名が定着しています。これは仮想通貨の本質がブロックチェーンという暗号技術に基づいて発行・流通しているからです(この暗号技術についても後で説明します)。

仮想通貨とビットコインは同じ意味ではない

仮想通貨のことを「ビットコイン」と思っている方がいますが、これは正確ではありません。

仮想通貨はインターネット上で使える、実体を持たない新しいお金の総称です。そして、ビットコインは数ある仮想通貨の1種類にすぎません。

仮想通貨とビットコインの関係イメージ

たとえば、円やドル、ユーロといった通貨は「法定通貨」と呼ばれます。法定通貨という大きな枠組みの中に、円やドル、ユーロが存在しているのと同じく、「仮想通貨」という大きな枠組みの中に、ビットコインという通貨が存在するというわけです。

つまり仮想通貨には、ビットコイン以外の通貨もたくさんあるということです。ただし、その中でもビットコインは特別な存在感を持っています。なぜなら、世界で初めて誕生した仮想通貨がビットコインだからです。多くの仮想通貨は、公開されているビットコインの仕組みを参考に作り出されました。

こうした背景があまり知られていないため、「仮想通貨=ビットコイン」と認識されてしまっているのかもしれません。

ビットコイン以外にはどんな仮想通貨があるの?

仮想通貨は大きく分けて、ビットコインと、それ以外に区別されます。ビットコイン以外の仮想通貨は「アルトコイン(オルトコイン)」と総称されます。代表的なものにイーサリアムやリップル(XRP)などがあります。

アルトコインは技術的には誰でも作ることができるため、非常に多くの銘柄が存在します。その分、価格や信頼性は銘柄によって大きく差があり、極端に値下がりしたり取引が成り立たなくなったりするものもあります。興味を持った銘柄は、発行の背景や取扱状況をよく調べたうえで慎重に判断することが大切です。

ビットコインの基本単位=BTC

ビットコインの通貨単位は「BTC(ビーティーシー)」です。法定通貨が¥100や$200と表記されるように、ビットコインも「1BTC」と表記されます(「XBT」と表記される場合もあります)。

1BTCあたりの価格は高額になることがあり、日常のちょっとした支払いに使うには大きすぎる単位です。そこで、BTCより小さい単位として、mBTC(1,000分の1BTC)や、最小単位のSatoshi(サトシ/1億分の1BTC。ビットコイン考案者の名前に由来)といった単位も使われます。

ビットコインの分裂(フォーク)

ビットコインは、取引量が増えるとブロックの容量が足りなくなり、処理に遅延が出るのではないかと懸念されてきました(スケーラビリティ問題と呼ばれます)。この問題への対応方針をめぐってコミュニティが対立し、その結果、開発の一部がビットコインのブロックチェーンからフォーク(分岐)して、新たな通貨(ビットコインキャッシュなど)を生み出しました。

このように、中央の発行主体が存在しないため、仮想通貨は時に分岐して新しい通貨を生み出すことがあります。これも仮想通貨の興味深い特徴のひとつです。

なお、ビットコインでの支払いに対応していた企業が、手数料の高騰や価格変動を理由に対応をやめた例もあります。決済手段としての使われ方は、今も揺れ動いている段階です。

>Steamがビットコイン決済を停止した理由(取引手数料の高騰)

仮想通貨の主な特徴

仮想通貨は実体が存在しない点でも特異ですが、本当に注目すべきポイントは別にあります。それこそが、円やドルといった法定通貨との決定的な違いです。

発行主体が存在しない

100円玉や千円札は、日本銀行という中央銀行が発行しています。アメリカならFRB(連邦準備制度)がドルを発行しています。このように、法定通貨には必ず発行主体があります。オンラインゲームの通貨ですら、ゲーム会社が発行主体です。

一方で、ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨には、発行主体がほとんど存在しません。(企業が関与する例外的な仮想通貨もあります。)

ビットコインは、あらかじめ決められたルールに従って発行され、発行枚数の上限が約2,100万BTCと決まっています。新しいビットコインは、マイナー(採掘者)と呼ばれる人たちが大量のコンピューターで難しい計算を解くことで、ルールに従って発行されます(この作業をマイニング=採掘といいます)。

発行主体がいないことは、誰でも新しい仮想通貨を作り出せるという特徴にもつながります。ただし、作れることと流通することは別で、信頼性や使い道がなければ広まりません。また、特定の国家や中央機関の政策に直接左右されにくいという見方もありますが、実際には規制のニュースや市場心理などで価格が大きく動くため、「外部の影響をまったく受けない」わけではありません。

非中央集権的な仕組み(P2P)

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、P2P(ピア・ツー・ピア)という技術を使い、参加者同士でお互いに取引情報を共有・承認しあっています。銀行のシステムと比べてみましょう。

【銀行の場合】

銀行でお金を動かすときは、必ずサーバーというコンピューターにデータが集まります。あなたのパソコンから入力された支払い情報は一度サーバーに入り、口座間でお金が移動され、その後に完了の通知が届きます。サーバーが中心となって承認する仕組みのため安定していますが、銀行が仲介する以上、手続きや手数料が発生します。

サーバーを介した銀行の仕組みのイメージ

【仮想通貨の場合】

仮想通貨はP2Pを使い、サーバーを介さずに端末同士が直接つながって取引記録を共有します。多くの参加者に同じ記録が分散して保存されるため、どこか一部が壊れても記録全体が失われにくいという強みがあります。送金手数料も、仕組み上は比較的少額で済むことが多いとされています(ただし手数料は無料ではなく、ネットワークの混雑状況によって変動します)。

P2Pの仕組みのイメージ

仮想通貨を支える「ブロックチェーン」

仮想通貨の取引記録は誰でも閲覧できる状態ですが、それでも改ざんはほぼ不可能とされています。その理由が、核となる技術「ブロックチェーン」です。

ビットコインでは、およそ10分ごとに発生した取引(トランザクション)をひとまとまりにしたブロックを作り、直前のブロックの後ろへ次々とつなげていきます。各ブロックには、1つ前のブロックの内容を要約したハッシュ値が埋め込まれます。

この仕組みのおかげで、あるブロックのデータを書き換えると、以降すべてのブロックとの整合が取れなくなり、改ざんが極めて困難になります。さらにブロックの作成には膨大な計算が必要で、この計算作業(=マイニング)による正しさの証明をプルーフ・オブ・ワーク(仕事量による証明)と呼びます。計算を最初に成功させたマイナーには、報酬として新しく発行されたビットコインが付与されます。

プルーフ・オブ・ワークのイメージ

なお、マイニングには大量の電力が必要なため、電気代の安い地域に大規模なマイニング施設が置かれる傾向があります。近年は各国のエネルギー事情や規制によって、拠点が世界各地に分散・移動しています。

2026年に成立した法改正で、暗号資産の位置づけが変わります

仕組みと並んで押さえておきたいのが、ルールが大きく変わる時期に入っていることです。

2025年12月10日に金融審議会の「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」が報告をまとめ、それを受けた改正法案が2026年4月10日に国会へ提出されました。衆議院・参議院を通過し、2026年7月23日に法律第64号として公布・成立しています。内容は、暗号資産の売買などを金融商品取引法の「金融商品取引業」に位置づけ、資金決済法から暗号資産の規制を移すというものです。

ただし、2026年9月16日時点でこの改正はまだ施行されていません。暗号資産に関する部分の施行日は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、遅くとも2027年7月23日までに始まる見込みです。「もう金商法になった」と書かれている記事を見かけたら、施行日の記載があるかを確かめてください。

項目現在(2026年9月時点)改正法の施行後
根拠となる法律資金決済法金融商品取引法
個人の売却益の課税原則として雑所得(総合課税)申告分離課税(所得税15%・住民税5%)へ移行する方針
時期—公布(2026年7月23日)から1年以内に政令で定める日

税金の扱いも同じで、令和8年度税制改正の大綱には申告分離課税へ移行する方針が示されていますが、適用されるのは「金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後」の譲渡からとされています。つまり、いま暗号資産を売って利益が出た場合は、原則として従来どおり雑所得(総合課税)です。実際の申告は、国税庁の案内を確認するか税務署・税理士にご相談ください。

出典:金融庁「国会提出法案等」/国税庁 タックスアンサー No.1524(いずれも2026年9月16日確認)

仮想通貨を使うメリットとは?

海外送金の手数料が比較的安いことがある

一般に、銀行から海外へ送金すると数%程度の手数料がかかることが知られています。一方、ビットコインなどは銀行のような仲介者を介さないため、送金手数料が比較的安く済む場合があります(手数料はネットワークの混雑状況で変動します)。

24時間365日、いつでも送金できる

銀行振込は営業時間や休業日に左右されますが、仮想通貨の送金は24時間365日いつでも行えます。BTCなどの単位は世界共通のため、少額からでも国境を意識せずに送りやすいのが特徴です(受け取り側の取引所や国の規制には従う必要があります)。

仮想通貨のデメリット・注意点とは?

価格の変動が非常に激しい(ボラティリティが高い)

法定通貨は中央銀行がその価値を支え、流通量を調整しています。一方、仮想通貨には発行主体が存在しないため、価値を保証してくれるものがなく、価格が短期間で大きく上下します。

この記事の初出は2017年11月で、当時の1BTCは約120万円でした。その後も上昇と下落を繰り返しており、短期間で資産価値が大きく変わる点は今も変わりません(現在の相場は取引所のチャートで確認できます)。

だからこそ、仮想通貨は「必ずもうかる」ものではありません。金融庁も暗号資産について、①法定通貨ではないこと ②価格が変動して損をする可能性があること ③交換業者は登録が必要で、利用前に登録業者かを確認することを注意喚起しています(参考:金融庁 暗号資産の利用者のみなさまへ)。始める場合は、失っても生活に影響しない範囲の余裕資金で、購入時期を分散するなど、リスクを抑える工夫を心がけましょう。

「絶対に値上がりする」「元本保証」といった勧誘は、その時点で疑ってよいものです。ネット上の勧誘の見抜き方や相談先は、キャッシュバック詐欺の手口と相談先の記事でも触れているので、あわせて参考にしてください。

すべての取引記録が残る(プライバシーの考え方)

ブロックチェーンには、過去から現在までのすべての取引記録が残ります。いわば仮想通貨取引の「台帳」で、誰でも内容を閲覧できます。そのため、もしあなたのビットコインアドレスが特定されると、そのアドレスの取引履歴をたどられる可能性があります。ビットコインではアドレスを取引ごとに使い分けられる仕組みがあり、こうしてプライバシーを守る工夫がされています。

取引所の破綻・流出リスクがある

仮想通貨そのものの仕組みは堅牢でも、それを預ける「取引所」がハッキングや経営破綻に見舞われるリスクはあります。実際、過去には国内外の取引所で大規模な流出事件が起きています。取引所を選ぶときは、金融庁に登録された暗号資産交換業者かどうかを必ず確認しましょう(無登録業者には金融庁・財務局が警告を出しています)。

仮想通貨って法定通貨やクレカ、電子マネーと何が違うの?

法定通貨(円・ドルなど)

法定通貨は各国の中央銀行が発行・管理する通貨です。硬貨や紙幣があり、発行上限は設けられていません。一方、ビットコインには発行主体がなく、発行上限(約2,100万BTC)が決まっている点が大きく異なります。

クレジットカード

クレジットカードは、支払い日までカード会社が代金を立て替える「後払い(信用取引)」の仕組みです。一方、仮想通貨での支払いは、自分の口座にある通貨を相手に直接移動させるため、立て替えは発生しません。その場で引き落とされるデビットカードのほうが感覚は近いといえます。

電子マネー(Suica・PASMOなど)

電子マネーは、日本円を電子データに置き換えて支払いを便利にしたものです。たとえばSuicaはJR東日本が発行主体で、独自の為替レートがあるわけではありません。一方、仮想通貨は独自の単位を持ち、レートに基づいて円やドルと交換できる点が異なります。また、仮想通貨は個人間で直接やり取りできますが、電子マネーは基本的に個人間送金ができません。

ポイント(各種ポイント)

各種ポイントは支払いの補填に使えますが、多くは1ポイント=1円のようにレートが固定されており、基本的に現金へ換金できません。仮想通貨は相場に応じてレートが変動する点が異なります。

オンラインゲームの通貨

ゲーム内通貨は実体がなくコミュニティ内で価値を持つ点で仮想通貨に少し似ています。ただし、運営会社が発行・管理しており、運営が終了すればその通貨も使えなくなります。一方、仮想通貨には特定の発行主体がなく、分散して記録が保たれるという違いがあります。

よくある質問

Q. 「仮想通貨」と「暗号資産」はどちらが正しい呼び方ですか?

A. 法令上の正式な呼び方は「暗号資産」です。金融庁は、資金決済法の改正(令和2年5月1日施行)により法令上の呼称が「仮想通貨」から「暗号資産」へ変更されたと案内しています。日常会話やニュースでは「仮想通貨」も広く使われ続けています。

Q. 2026年に成立した法改正で、何が変わりますか?

A. 暗号資産の売買などが、資金決済法ではなく金融商品取引法の「金融商品取引業」として扱われるようになります。2026年7月23日に公布・成立しましたが、2026年9月16日時点ではまだ施行されておらず、施行日は公布から1年以内に政令で定められます。

Q. 暗号資産で得た利益にはどんな税金がかかりますか?

A. 2026年9月16日時点では、個人が暗号資産を売却して得た利益は原則として雑所得(総合課税)です。申告分離課税へ移行する方針は税制改正の大綱で示されていますが、適用は金融商品取引法の改正法が施行された年の翌年1月1日以後の譲渡からとされています。

Q. アルトコインもビットコインと同じように扱えますか?

A. 同じではありません。アルトコインは銘柄ごとに発行の背景も流通量も信頼性も異なり、極端に値下がりしたり取引が成り立たなくなったりするものもあります。国内の取引所で扱われていない銘柄も多くあります。

Q. 取引所が登録業者かどうかは、どこで確認できますか?

A. 金融庁が公開している暗号資産交換業者の登録一覧で確認できます。令和8年(2026年)8月21日現在で27社(関東財務局25社・近畿財務局2社)が登録されています。

まとめ

今回は、仮想通貨(暗号資産)とビットコインの基本を、できるだけやさしく解説しました。ブロックチェーンやP2Pといった技術は、送金や記録の分野で今後も応用が広がっていく注目の分野です。

そして2026年は、暗号資産を金融商品取引法の対象に移す改正法が成立し、施行を待っているという節目にあたります。施行後は税金の扱いも変わる見込みなので、ニュースを見るときは「成立」と「施行」を区別して読むようにしましょう。

一方で、仮想通貨は価格変動が激しく、値上がりを保証するものではありません。関わる場合は、金融庁に登録された交換業者を選ぶ・余裕資金の範囲で行う・「必ずもうかる」といった誘い文句を鵜呑みにしない——この3点を必ず意識してください。

おまけ:取引所を選ぶときのポイント

国内で仮想通貨(暗号資産)を売買するには、金融庁に登録された暗号資産交換業者の口座を開設します。登録業者かどうかは金融庁が公開している一覧で確認でき、令和8年(2026年)8月21日現在で27社が登録されています。初心者の方は、アプリの使いやすさ・手数料・取扱銘柄・サポート体制などを比べて選ぶとよいでしょう。以下は広く知られている国内の取引所の例です。

■初心者にもやさしい使い勝手!Coincheck
仮想通貨取引所 coincheck bitcoin

■CMでおなじみ!bitFlyer
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※制度・税制・登録業者の状況は変わります。最新の内容は金融庁の公式ページでご確認ください。