今回は住宅ローンのなかでも、この10〜20年で急速に利用者を増やしているインターネット銀行の住宅ローン(ネット住宅ローン)について、仕組みからメリット・デメリットまでわかりやすく解説します。「金利が低いのはなぜ?」「普通の銀行と何が違うの?」という素朴な疑問から整理していきましょう。
住宅ローンの歴史
日本で住宅ローンが誕生したのは今から100年以上前と言われています。
Wikipediaなどの情報サイトによると、今の形に近い商品が誕生したのは1896年〜1897年ごろとされていて、最初は銀行ではなく不動産会社が住宅を売るときにお金を貸す形だったそうです。
その後、銀行などの金融機関が今の住宅ローンのような形の商品を提供するようになります。平成に入ってからは、フラット35のような住宅ローンも登場し、住宅ローン専門の金融機関も現れました。
当時は民間金融機関だけでは優良住宅の普及が進みにくい状況だったので、日本政府が主導して「住宅金融公庫」が住宅ローンを提供し、不動産業界の活性化と優良住宅の普及を後押ししていました(現在は独立行政法人 住宅金融支援機構に業務が引き継がれ、フラット35を提供しています)。
このように100年を超える住宅ローンの歴史のなかで業界内にはさまざまな変化がありましたが、2000年ごろから大きく変わったのが、インターネットの普及と、インターネットを通じて銀行サービスを提供するネット銀行の誕生です。
ネット銀行の住宅ローンについて
日本にはすでにたくさんのネット銀行がありますが、日本で初めて住宅ローンの取り扱いを開始したのはソニー銀行です。
ソニー銀行の住宅ローンは今でも多くの人が利用している人気の住宅ローンの1つですが、ソニー銀行の登場を皮切りに、いまでは多くのネット銀行が住宅ローンに力を入れています。
ネット銀行の住宅ローンって何が違う?
インターネット銀行が普通の銀行と違うのは、次の3つのポイントです。
- 店舗と銀行員が少ないので人件費や店舗費が安く済み、システムのコストも抑えられる(会社としての営業効率が良い)
- 店舗に行かなくてもスマホやパソコンから申し込める利便性(手続き面)
- 新しく登場したので組織としてのしがらみが少ない(組織面)
メガバンクや地方銀行も「インターネットで申し込める住宅ローン」を提供していますが、これは主に「2番目の手続き面」が便利になっているだけで、1番目の営業効率や3番目の組織のしがらみは簡単に解消できるものではありません。
金融機関から見れば、住宅ローンはビジネス・商売なので利益をあげなければなりません。住宅ローンの利益は「利息と手数料収入から運営・維持費用を引いたもの」ですが、ネット銀行の住宅ローンは「運営・維持費用が少ない」仕組みになっているからこそ、低い金利でも利益を上げられるわけです。
簡単に言えば、銀行が住宅ローンで利益をあげる方法は大きく2つしかありません。1つは貸したときにもらえるお金(利息収入・手数料収入)を増やすこと。もう1つは商品を維持するための費用を減らすことです。ネット銀行は、私たち利用者から受け取るお金が少なくても商売を維持できるように運営している――この点が最大の特徴です。
インターネットで手続きできる住宅ローンは普通の銀行でも当たり前に提供している時代ですが、普通の銀行とネット銀行では基本構造そのものが違うということを理解しておくと、ネット住宅ローンがなぜ価値あるものなのかが見えてきます。
ネット住宅ローンのデメリット・注意点
メリットの大きいネット住宅ローンですが、使う人の目線で見ると注意点もあります。
- 対面での相談がしにくい:疑問点はメールやチャット、電話で自己解決していく場面が多くなります。書類の書き方などを窓口でじっくり相談したい人には不向きなことも。
- 審査や手続きを自分で進める必要がある:必要書類のアップロードや入力を自分で行うため、ある程度ネット操作に慣れている必要があります。
- 事務手数料が「借入額×2.20%(税込)」の定率型が多い:保証料が無料でも、事務手数料は借入額に応じて数十万円かかるケースが一般的です。総コストで比較することが大切です。
これらは「対面サポートの手厚さ」と引き換えの部分でもあります。ご自身がどこを重視するかで向き・不向きが分かれます。
住宅ローンを取り扱うおもなネット銀行の一覧と特徴
| 銀行名 | 特徴 |
| ソニー銀行 | 日本で最初に住宅ローンを取り扱った銀行。保証料・繰上返済手数料が無料で、がんに対する疾病保障もセットできる。手数料の安い「変動金利」に加えて、「変動セレクト」「固定セレクト」といった金利タイプを用意している。 |
| 楽天銀行 | 銀行のなかでフラット35の取扱件数が多いことで知られる。手数料が定額で保証料無料の「金利選択型」住宅ローンも提供。金利選択型には全疾病特約がセットできる。 |
| 住信SBIネット銀行 | ネット銀行のなかでは住宅ローンの実績が豊富。全疾病保障が付帯するなど保障も充実している。 |
| PayPay銀行 | 旧・ジャパンネット銀行。2019年に住宅ローンの取り扱いを開始した比較的新しい住宅ローンで、変動金利の低さが魅力。 |
| auじぶん銀行 | KDDIグループのネット銀行。借入時50歳以下なら「がん・4疾病50%保障」「全疾病保障」を無料で付帯できるなど、充実した疾病保障を上乗せ金利なしで用意しつつ、低金利の住宅ローンを提供している。 |
※各行の金利・団信の付帯条件・手数料は改定されることがあります。最新の内容は必ず各銀行の公式サイトでご確認ください。
おすすめのネット銀行の住宅ローンは?
普通の銀行の住宅ローンに比べて、ネット銀行の住宅ローンは金利が低く、保証料無料だったり疾病保障が無料でついていたりとお得な面が多いのですが、そのなかで「どれが一番か」と聞かれると難しいところです。
あえてネットの先生が今1番おすすめしたい住宅ローンを選ぶとすると、「auじぶん銀行の住宅ローン」になると思います。
auじぶん銀行の住宅ローンをおすすめする理由
auじぶん銀行の住宅ローンをおすすめしたい理由は以下のとおりです。
- がん50%保障と言われる「がんと診断されたときに住宅ローンの残高が半分になる」保障(現在は急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患を加えたがん・4疾病50%保障に拡充)が、借入時50歳以下なら無料でセットされること
- 全疾病保障と言われる「一定期間以上の入院で住宅ローンの残高がなくなる」保障が無料でセットされること
- 変動金利・当初10年固定などの金利が低いこと。特に今、利用者が多い変動金利が業界トップクラスに低い水準にあること
- 保証料・団信保険料・一部繰上返済手数料が無料(当たり前のことが当たり前に提供されている)であること
※がん・4疾病50%保障や全疾病保障などの無料付帯は「借入時50歳以下」などの条件があり、保障内容は改定されることがあります。最新の金利・団信・手数料はauじぶん銀行公式サイトでご確認ください。
ネット住宅ローンのよくある質問(FAQ)
Q. ネット銀行の住宅ローンはなぜ金利が低いのですか?
A. 店舗や人員にかかるコスト・システム維持費が少なく、営業効率が高いためです。利用者から受け取る利息や手数料が少なくても運営できる構造になっているので、その分を低金利という形で還元できます。
Q. 保証料が無料なら、総額も一番安くなりますか?
A. 必ずしもそうとは限りません。多くのネット銀行は「借入額×2.20%(税込)」の定率型の事務手数料がかかります。金利・事務手数料・保証料・団信をあわせた総コストで比較するのがおすすめです。
Q. 対面で相談できないのが不安です。
A. ネット銀行はメール・チャット・電話でのサポートが中心です。近年は電話サポートやオンライン相談を充実させている銀行も増えています。じっくり対面相談したい場合は、店舗を持つ銀行やネットと店舗の両方に対応する銀行も選択肢になります。
Q. 団信の保障内容は申し込むときに決まりますか?
A. 団信の付帯条件や上乗せ金利は各行が定める基準日で判定されるため、申込時と契約時で案内内容が異なる場合があります。正確な条件は必ず各行の公式・被保険者のしおり等でご確認ください。
まとめ
ネット住宅ローンは、いま間違いなく日本の住宅ローンのあり方を塗り替えつつあります。金利・保障・手続き・借り入れ後の利便性まで含め、スマホ時代の住宅ローンとして利用者を大きく伸ばしています。一方で、対面サポートの手厚さや総コストの比較といった注意点もあります。ご自身が「金利」「保障」「手続きのしやすさ」のどれを重視するかを整理したうえで、各行の最新情報を公式サイトで確認しながら選んでいきましょう。
