光回線・スマホの障がい者割引とは?まず全体像をつかむ

障がい者割引とは、障害者手帳などの交付を受けている方が、通常より安い料金でサービスを利用できる制度のことです。公共交通機関の運賃割引が有名ですが、スマホ(携帯電話)やインターネット回線にも同じような割引が用意されています。

ただし、ひとくちに「通信の障がい者割引」といっても中身はまったく違います。ざっくり分けると次の2種類です。

  • スマホ(携帯電話)の割引…ドコモ・au・ソフトバンクの3社が提供。基本料や通話料、各種手数料が安くなる
  • インターネット回線・プロバイダの割引…J:COM、エディオンネット、TNCなど一部の事業者が提供。月額利用料そのものが下がる

金額のインパクトが大きいのは前者で、プランによっては月額1,980円(税込)の割引になります。この記事では、2026年8月時点の各社公式サイトの内容をもとに、どの会社でいくら安くなるのかを整理していきます。


どの会社でいくら安くなる?割引額の早見表

先に結論から見てみましょう。スマホと回線では割引の“効き方”がまったく違うことがわかると思います(いずれも2026年8月時点・各社公式サイトで確認した内容です)。

サービス割引の名前主な割引内容
ドコモ(スマホ)ハーティ割引ドコモ MAX(無制限)が8,448円→6,468円。spモードなど各種オプションは60%割引
au(スマホ)スマイルハート割引auバリューリンクプランなど現行の主要プランで基本料440円割引。通話料・SMS送信料も割引
ソフトバンク(スマホ)ハートフレンド割引基本プラン(音声)が1,078円→858円。各種手数料が無料
J:COM(回線)ハートフルプラン光1Gコースが月額3,685円など、通常より割安な料金表を適用
エディオンネット(プロバイダ)身体障がい者割引制度フレッツプラン光が1,650円→770円(880円割引)
TNC(プロバイダ)障がい者割引制度フレッツ・光対応サービスなどの月額利用料が50%OFF

いずれも自分で申し込まないと適用されません。条件に当てはまっているのに知らずに損をしている、というケースが少なくない制度です。

ドコモ1980円、au440円、ソフトバンク220円という基本料割引額の比較グラフ
ドコモは「ドコモ MAX(無制限)」8,448円→6,468円、auは現行の主要プラン、ソフトバンクは基本プラン(音声)を基準にした金額です。プランの性格が異なるため、単純な優劣の比較ではありません(2026年8月時点)。

スマホの割引:ドコモ・au・ソフトバンクの3社を比べる

大手キャリア3社はいずれも障がい者向けの割引を用意していますが、「基本料をいくら引くか」の考え方が3社でバラバラです。順番に見ていきます。

ドコモ「ハーティ割引」:割引額がもっとも大きい

ドコモの「ハーティ割引」は、基本使用料そのものを大きく引き下げるタイプです。現行プランの割引後料金は次のとおりです(税込・spモードの月額使用料を含んだ金額)。

料金プラン通常の月額料金ハーティ割引適用後
ドコモ MAX(無制限)8,448円6,468円
ドコモ MAX(~3GB)6,798円4,818円
ドコモ ポイ活 20(~20GB)7,898円5,918円
ドコモ スマホデビュープラン U15(~5GB)2,508円1,738円
eximo(無制限)7,315円5,808円

基本料以外にも、次のような特典がまとめて付いてきます。

  • 5分通話無料オプション(880円)が無料、かけ放題オプション(1,980円)が1,100円に
  • spモード・留守番電話・キャッチホンなどの月額使用料が60%割引(例:spモード330円→132円)
  • 新規契約・名義変更・機種変更・契約変更の契約事務手数料(各4,950円)が無料
  • ドコモショップの初期設定サポート(3,300円)が無料
  • 電話番号案内「104」への通話料・番号案内料が無料

注意したいのは、対象外のプランと「重ねて使えない割引」があること。ドコモ公式には「ドコモ mini」「irumo」は対象外と明記されています。また「みんなドコモ割」「子育てサポート割引」「dカードお支払割」「定期契約型プラン」とは重畳適用(重ねがけ)ができません。家族が多くて「みんなドコモ割」が効いている世帯では、どちらが得になるか両方の割引後金額を出して比べたほうが確実です。

なお、同一の契約者では「ハーティ割引」と「子育てサポート割引」のどちらかを1回線だけ適用できます。

au「スマイルハート割引」:通話料・SMSにも効くのが特徴

auの「スマイルハート割引」は、基本料の割引額こそ控えめですが、通話料とSMS送信料まで割り引かれる点がドコモ・ソフトバンクとの大きな違いです。

割引の対象割引内容補足
基本料(現行の主要プラン)440円割引auバリューリンクプラン、使い放題MAX+、スマホミニプラン+、U18/U12バリュープランなど
基本料(ケータイプラン)407円割引ジュニアケータイプラン等は187円割引
通話料au・固定電話宛は50%割引/他社携帯・PHS宛は20%割引通話定額系オプション加入中の通話は対象外
SMS送信料au宛は50%割引/他社携帯・PHS宛は20%割引—

対応機種はスマートフォン(5G/4G LTE)、iPhone、ケータイ(4G LTE)です。データ通信料や国際通話料などは割引の対象外なので、「スマホ代がまるごと半額になる」わけではない点は押さえておきましょう。

適用は申し込んだ当月から(日割り)で、解約や割引の廃止をした場合は当月利用分までとなります。

ソフトバンク「ハートフレンド割引」:低容量プラン向けの一律割引

ソフトバンクの「ハートフレンド割引」は、基本プランの月額料金から一律220円を割り引くシンプルな仕組みです。

プラン通常の基本料割引適用後
基本プラン(音声)1,078円858円
基本プラン(データ)1,078円858円
基本プラン(みまもりケータイ/キッズフォン)649円539円(110円割引)

あわせて、契約事務手数料・機種変更手数料・契約変更手数料・譲渡承認手数料がいずれも無料になり、留守番電話プラス/割込通話/位置ナビ/電話帳バックアップの月額使用料が60%割引になります。

加入条件は個人契約であること、そして同一使用者名義の別回線でハートフレンド割引の適用を受けていないこと。対象となる方が「使用者」として使用者情報に登録されている必要もあります。

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3社に共通する対象者と、申し込み方法

対象になるのは、次のような手帳・受給者証の交付を受けている方です(細かい範囲は会社ごとに違うため、必ず各社公式でご確認ください)。

  • 身体障害者手帳/療育手帳/精神障害者保健福祉手帳
  • 特定疾患医療受給者証、特定疾患登録者証、特定医療費(指定難病)受給者証 など
  • ソフトバンクはこれらに加えて、自立支援医療受給者証(精神通院医療)、小児慢性特定疾病医療受給者証、マル都医療券なども対象

申し込みは店頭が基本です。auはau style/auショップまたは郵送・チャット・電話で受け付けており、障害者手帳アプリ「ミライロID」でも手続きが可能(店舗のみ)。ソフトバンクもミライロIDに対応しています。手帳を持ち歩かずに済むので、覚えておくと便利です。

インターネット回線・プロバイダ側の割引

ここからは回線・プロバイダの話です。ここまで見てきた3社の割引はいずれもスマホ(携帯電話)の料金に対するもので、光回線の料金そのものは対象外です。回線側で割引を用意しているのは、ケーブルテレビ事業者や一部のプロバイダに限られます。大手の光回線サービスについては割引の有無を各社公式で個別にご確認ください(見つけられない場合も、窓口や代理店によって取り扱いが異なることがあります)。

J:COM「ハートフルプラン」

J:COMの「ハートフルプラン」は、通常の料金表とは別の割安な料金表が適用される仕組みです。J:COM NET(2024年10月1日以降に契約した場合)の月額利用料は次のとおりです。

コースハートフルプラン適用後(税込)高機能Wi-Fi利用時(税込)
光1Gコース3,685円3,905円
光5Gコース3,960円4,180円
光10Gコース4,400円4,620円
320Mコース3,410円4,180円

対象は、身体障害者手帳(1級・2級)/療育手帳(最重度・重度・中度)/精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている方、およびその方と同居し扶養している方です。本人だけでなく扶養している家族の名義でも申し込める点は、意外と見落とされがちなポイントです。

申し込みには確認書類の提示とJ:COM所定の同意書の提出が必要で、すでに契約中の場合は、J:COMが適用を承認した翌月の利用分から割引が始まります。J:COM NET以外にJ:COM TV・J:COM PHONE・J:COM ガスにもハートフルプランが用意されています。

エディオンネット(フレッツプラン光)の身体障がい者割引制度

家電量販店エディオンが運営するプロバイダ「エディオンネット」では、フレッツプラン光(IPoE/PPPoE)に身体障がい者割引制度があります。

  • 通常の月額利用料 1,650円(サービス基本料330円+プロバイダ料1,320円)が、880円割引で770円
  • 対象は、契約者本人が身体障害者手帳1級・2級または3級の交付を受けている場合
  • エディオンカードお支払い割引とは併用できません

これはプロバイダ料金の割引なので、別途NTT東日本・西日本のフレッツ光(または光コラボレーションモデル)の回線料金がかかります。新規入会はエディオンネットを取り扱うエディオン店舗での申し込みとなり、手続きの詳細はエディオンネットカスタマーセンターが窓口です。

TNC(TOKAIネットワーククラブ)の障がい者割引制度

静岡を中心にサービスを提供するTNCにも障がい者割引制度があります。割引率がはっきり決まっているのが特徴です。

  • フレッツ・光対応サービス/コミュファ光対応サービス/ひかりdeネット対応サービス/ダイヤルアップ接続サービス…月額利用料50%OFF
  • ADSLパワーライン…月額利用料33%引き
  • 対象は個人名義での申し込みで、身体障がい者手帳・療育手帳の交付を受けている方(手帳の名義はTNC契約者本人のみ)

注意点として、年間一括割引(トク割15など)やTOKAIカード割引、その他の割引サービス・キャンペーンとは併用できません。すでに年間一括割引を利用している方が障がい者割引を申し込むと、年間一括割引は解除されます。申し込みはTNC障がい者割引申請書と手帳のコピーを郵送する方式です。

スマホの割引と光回線のセット割は、重ねて使える?

「障がい者割引を使うと、光回線のセット割が使えなくなるのでは?」——これはよく聞かれる疑問です。

ドコモの場合、ハーティ割引と「ドコモ光セット割」は併用できます。ドコモ公式の「同時にご利用になれないサービス」に挙げられているのは、みんなドコモ割・子育てサポート割引・dカードお支払割・定期契約型プランなどで、ドコモ光セット割は含まれていません。つまり、スマホ側はハーティ割引で基本料を下げ、そのうえで自宅の光回線をドコモ光にすればセット割も乗る、という組み合わせが可能です。

ネット回線の先生ネット回線の先生

ここでの落とし穴は「みんなドコモ割」です。家族3回線以上で使っている世帯だと、みんなドコモ割の割引額のほうが大きくなることもあります。ハーティ割引と重ねられないので、両方の割引後の合計金額を出して比べるのが確実です。ショップで「ハーティ割引を付けた場合と、みんなドコモ割のままの場合の見積もりを両方ください」と伝えれば計算してもらえますよ。

申請の進め方は3ステップ

どの会社もやることは似ています。準備するものを先に揃えておくと、店頭での手続きが一度で終わります。

  1. 手帳・受給者証の原本(またはコピー)を用意する…手帳は「氏名・交付番号・生年月日・住所」が記載されたページが必要です。郵送申請の場合はA4サイズにコピーします。
  2. 契約者本人か、対象者との関係を確認する…3キャリアは基本的に契約者本人(使用者登録)が対象。J:COMは同居・扶養している家族も対象です。代理人が手続きする場合は委任状と代理人の本人確認書類が要ります。
  3. 窓口で申し込む…キャリアは店頭(auは郵送・電話・チャットも可)、J:COMは同意書の提出、エディオンネットはカスタマーセンター、TNCは申請書の郵送です。

耳や言葉が不自由な方向けの窓口も用意されています。auは手話・チャットでの問い合わせに対応し、ソフトバンクはFAX窓口と手話カウンターを設けています。電話での手続きが難しい場合は、こうした専用窓口を使うとスムーズです。

よくある質問

Q. 手帳を持っているのが家族の場合でも割引を受けられますか?

A. 会社によって扱いが分かれます。J:COMのハートフルプランは、対象となる方と同居し扶養している方も申し込めます。一方、TNCは「手帳の名義=TNC契約者本人のみ」と明記しており、家族名義では適用されません。大手キャリア3社も契約者本人(使用者として登録されている方)が対象です。

Q. すでに契約中でも、あとから申し込めますか?

A. 申し込めます。ただし適用開始のタイミングが会社ごとに違います。auは申し込んだ当月から日割りで適用、J:COMは適用が承認された翌月の利用分から、TNCは毎月25日までの申し込みで翌月の利用分からです。

Q. 申し込みを忘れていた期間の分を、さかのぼって返金してもらえますか?

A. さかのぼっての適用・返金は原則としてできません。TNCは公式サイトで「割引のさかのぼっての返金はいたしかねます」と明記しています。条件に当てはまるとわかった時点で、早めに申し込むのが結局いちばんの節約になります。

Q. 途中でプランを変更したら、割引はそのまま続きますか?

A. 手続きが必要になる場合があります。TNCは契約後にプランを変更する際、あらためて障がい者割引の申請が必要としています。またドコモは、名義変更をしたり対象プラン・対象者の条件を満たさなくなったりした時点でハーティ割引が終了します。プラン変更や名義変更をするときは、割引が継続するかを窓口で確認しておきましょう。

Q. ahamoやpovo、LINEMOなどのオンライン専用プランにも割引はありますか?

A. プランによって扱いが違うため、乗り換え前の確認が欠かせません。ドコモ公式は、ハーティ割引について「ドコモ mini」「irumo」は対象外と明記しています。ahamo・povo・LINEMOなど各社のオンライン専用ブランドの扱いは、この記事で確認した各社の割引ページには記載がありませんでした。プラン変更や乗り換えを検討している場合は、変更前に必ず各社公式で対象プランを確認してください(割引が外れて、かえって高くなることがあります)。

まとめ

通信の障がい者割引は、スマホ側のほうが金額のインパクトが大きいのが実情です。ドコモのハーティ割引ならプランによって月1,980円、年間にすると2万円以上の差になります。回線側はJ:COM・エディオンネット・TNCなど提供事業者が限られますが、TNCの50%OFFのように大きく下がるケースもあります。

いちばん大事なのは、条件に当てはまっていても、自分で申し込まないと1円も安くならないということ。手帳の写しを用意して窓口に相談するだけで、毎月の固定費が確実に下がります。

なお、料金プランや割引の内容は改定されることがあります。最新の対象プラン・割引額は、必ず各社の公式サイトでご確認ください。

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