テレビ番組やCMはもちろん、ジャンルを問わずさまざまな場面で活躍している「バーチャルYouTuber(通称:VTuber)」。名前は知っていても、「実際どういう存在なの?」「自分でもなれるの?」と聞かれると答えにくい、という方も多いはずです。
そこで今回は、VTuberとは何かという基本から、個人でVTuberになる手順・必要な道具・費用の目安までを、2026年7月時点の情報でまとめました。これから始めたい方も、推し活を深めたい方も参考にしてみてくださいね。
バーチャルYouTuber(VTuber)とは?
VTuberは、ざっくり説明すると「2D・3Dなどのキャラクターアバターを使って活動している配信者」のことです。
先駆けとなった存在といえば、やはり「キズナアイ」さんですね。
キズナアイさんが2016年に活動を開始し、自ら「バーチャルYouTuber」と名乗ったことでこの呼び名が定着しました。
キズナアイさんは2022年2月26日の「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」を最後にスリープ(無期限活動休止)に入っていましたが、2025年2月26日、音楽アーティスト「KizunaAI」として約3年ぶりに活動を再開しました。VTuber文化の原点が再び動き出した、象徴的な出来事といえるでしょう。
イラストやアニメと何が違うの?
境界はあいまいですが、アニメ・漫画のキャラクターとVTuberは「個人としての人格を持ってリアルタイムに存在しているか」という点が違います。決められた台詞をなぞるのではなく、いま生きている一人の人格として視聴者とやりとりする——そこがVTuberの面白さです。
2Dと3D、どちらでもVTuber
初期は3DモデルのVTuberが目立ちましたが、現在は2D(平面)イラストで活動する人も非常に多くなりました。2Dでも3Dでも、アバターを用いて活動していればVTuberです。静止画のアバターで活動している方もいます。
YouTube以外で活動する人は?
現在はYouTube以外のプラットフォームで活動する人も多く、総称して「バーチャルライバー」と呼ばれることもあります。ただ実際には、活動場所を問わずアバターで活動する人=VTuberという認識が定着しています。
アバターはどうやって動いている?
VTuberのアバターは、人間の動きを読み取ってアバターに反映させる「モーションキャプチャ」で動いています。全身を動かさない場合は、顔の角度や目・口の動きを反映する「フェイストラッキング」が一般的です。つまり、アバターを動かすには「中の人」の動きが必要ということですね。
個人向けの機材も進化しました。ソニーのモバイルモーションキャプチャー「mocopi(モコピ)」は、2023年1月20日に発売(発売時価格49,500円・税込)。6個のセンサーを身につけるだけで全身のモーションキャプチャができます。

>ソニー|モバイルモーションキャプチャー mocopi 公式サイト(最新の価格・対応状況は公式サイトでご確認ください)
スタジオを借りずに全身の動きを取り込めるようになったのは大きな進歩です。指や表情のトラッキングは別のツールと組み合わせるのが定番ですよ。
VTuberになる方法(個人編)
「自分もやってみたい!」と思っても、何から手をつければいいかが悩みどころですよね。順番に見ていきましょう。
①アバター(キャラクター)を用意する
まずは主役となるアバターです。静止画・2Dモデル・3Dモデルとありますが、個人勢に多いのは静止画と2Dモデルです。
- 2Dモデルを作る:定番のソフトはLive2D。イラストに動きを付けられます
- 3Dモデルを作る:ピクシブのVRoid Studioなら無料で3Dキャラクターを作成でき、VRM形式で書き出して各種アプリで使えます(Windows/macOS/iPad対応)
- 外注する:「ココナラ」などの技術販売サイトには、イラスト制作・モデリングを請け負うクリエイターが多数います

※外注する際は、サイトのルールを守り、制作者に無理のない条件で依頼しましょう。
3Dモデルじゃないとダメ?
そんなことはありません。3Dで本格的に動かすには、モデリング・モーションキャプチャ環境・編集など準備が増え、費用も上がります。静止画や2Dモデルでも、そのキャラクターになりきって配信すれば立派なVTuberです。ぬいぐるみをアバターにしている方もいます。まずは始めやすい形で一歩を踏み出しましょう。
なお、有名VTuberの多くは企業に所属しています。月ノ美兎さん・葛葉さんらが所属する「にじさんじ」、白上フブキさん・戌神ころねさんらが所属する「ホロライブ」などが代表例です。
②フェイストラッキングの環境を整える
アバターに自分の表情を反映させるための準備です(静止画のまま配信する場合は不要)。
Webカメラ
価格帯はさまざまで、安いものなら4,000円前後から。フレームレートが低いと動きがカクつくため、できれば30fps以上のものを選びましょう。
余談ですが、配信中に素顔が映ってしまったトラブルとしては「のらきゃっと事件」が有名です。

プロデューサーの「ノラネコP」さんは当時ショックを見せつつも前向きなコメントを残し、ファンからも「ますます応援しがいがある」と好意的な反応が多く寄せられました。とはいえ、顔出しを避けたい方は機材と配信画面の設定を必ず事前に確認しましょう。
トラッキングソフト(無料もあり)
Webカメラで捉えた表情をアバターに反映するソフトです。代表的なものを紹介します。
■ VTube Studio

Steamで配信されているトラッキングソフトで、Live2Dモデルに対応しています。動作が軽く、トラッキング精度も高いと評判。PC版のほかスマホアプリ版もあり、Webカメラがなくてもスマホを顔の入力に使えます。基本機能は無料で試せますが、一部機能の利用には有料版(VTube Studio Pro)が必要です(価格は公式・Steamでご確認ください)。
■VTube Studio(PC版):https://store.steampowered.com/app/1325860/VTube_Studio/
※ダウンロードにはSteamアカウント(無料)が必要です。
■ Animaze

かつてVTuber界隈で広く使われた「FaceRig」の後継にあたるソフトです(FaceRigは2021年でサポートを終了)。Live2D・3Dモデルの両方に対応している点が特長です。
▽Animaze:https://www.animaze.us/
※各ソフトの対応機能・料金は更新されます。導入前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
③声を当ててキャラになりきる
アバターが動くようになったら、いよいよ声です。慣れないうちは気恥ずかしいものですが、思い切って楽しみましょう。
PC内蔵マイクでも配信はできますが、音質はリスナーの満足度に直結します。ノイズを抑えたいなら、USBマイクやオーディオインターフェースの導入を検討しましょう。
「どうしても地声は出したくない」という方は、音声合成ソフト(VOICEROIDなど)でテキストを読み上げさせるスタイルもあります。無理のないやり方で続けるのがいちばんです。
番外編:スマホだけでも始められる
「まずは体験してみたい」なら、スマホアプリが手軽です。できることは限られますが、初期費用ゼロでアバター配信の感覚をつかめます。
Mirrativ(ミラティブ)
「Mirrativ」はスマホ画面をそのまま生配信できるライブ配信アプリで、「エモモ」機能を使えば3Dアバターを作って、そのまま配信できます。カメラを使わないため顔が映り込む心配がないのが安心材料。口の動きは音声認識で連動します。
カスタムキャスト

「カスタムキャスト」は3Dキャラクターを作成できるスマホアプリです。パーツを組み合わせて自分好みのキャラを作り、ポーズをつけて撮影することもできます。フェイストラッキング機能を備えているため、表情を連動させた配信も可能です。限定アイテムなどが使える会員サービス(月550円・税込)も用意されています(最新の仕様・料金は公式サイトでご確認ください)。
ライブ配信アプリ「SHOWROOM」に興味がある方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
》SHOWROOMの使い方やカウントとは?
スマホアプリは手軽な反面、できることは限定的です。
- 気軽にアバター配信を試したい
- 自分の分身として使えれば十分
- クオリティにはこだわらない
——こうした方には、スマホから始めるのがおすすめです。
配信してみよう(動画配信/ライブ配信)

せっかく生み出したキャラクターです。配信して、見てもらいましょう。方法は大きく2つ、録画した動画をアップする「動画配信」と、リアルタイムの「ライブ配信」です。
【動画配信】動画編集ソフト
不要な部分のカットや字幕付けなど、編集をすると視聴体験がぐっと良くなります。代表的なソフトは次の2つです。
■ PowerDirector

クロマキー合成やキーフレームなど、必要な機能がひととおりそろった定番ソフトです。サブスクリプション型のプランが用意されており、料金・プラン構成は改定されることがあります(最新は公式サイトでご確認ください)。
■ Filmora

直感的な操作で初心者にも扱いやすい編集ソフトです。無料で試せますが、書き出し時にロゴが入るなどの制限があり、制限を外すには有料版が必要です(プランと価格は公式サイトでご確認ください)。
【ライブ配信】配信ソフト

ライブ配信では「OBS Studio」が定番です。無料で使え、録画にも対応しています。
※ライブ配信はリアルタイムのため、配信事故が起きたときの対処が難しいのが弱点です。慣れないうちは、録画→編集→投稿の動画配信から始めるほうが安心です。
VTuberに必要なPC環境は?
本格的にアバターを動かす・編集するなら、パソコンの性能が効いてきます。低スペックだと動作が重く、配信も編集もストレスになります。
「ゲーミングPC」が結局いちばん無難
おすすめはゲーミングPC(できればデスクトップ)です。ゲームを快適に動かせるPC=高性能なCPU・十分なメモリ・GPU(グラフィックボード)を積んだPCであり、モデルの表示・トラッキング・動画の書き出しまで一台でこなせます。
予算の目安
ゲーミングPCの価格は構成によって大きく変わり、エントリークラスで10万円前後、上位構成では30万円以上になることもあります。まずはBTOショップ(注文時に構成を選べるショップ)でセールを狙うのが賢い買い方です。
※PCの価格・世代は入れ替わりが早いため、購入時は最新のCPU・GPU世代と価格を確認してください。
始めたあとに知っておきたいこと
収益化はどうなっている?
VTuber活動の収益源は、大きく次のようなものがあります。
| 収益源 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 広告収益 | 動画・配信に表示される広告 | プラットフォームごとに収益化の参加条件があります(最新条件は各公式でご確認ください) |
| 投げ銭(スーパーチャット等) | 視聴者からの応援 | ライブ配信が中心。収益化条件を満たす必要があります |
| メンバーシップ・サブスク | 月額の応援制度 | 限定配信・限定スタンプなどの特典を用意するのが一般的 |
| グッズ・ボイス販売 | 物販・音声作品など | 個人勢でも取り組みやすい。制作・発送の手間は要考慮 |
収益化は「始めてすぐ」に実現するものではありません。まずは無理のない頻度で配信を続け、視聴者との関係をつくることが結果的に近道です。
ゲーム配信をするときの注意
ゲーム実況をする場合は、各ゲームメーカーが公開している配信ガイドライン(実況・収益化の可否、公開できない範囲など)を必ず確認しましょう。作品によってはストーリー部分の配信が禁止されていたり、収益化に条件が付いていたりします。ガイドラインは改定されることがあるため、配信前に公式の最新版を確認するのが鉄則です。
身バレ・顔バレを防ぐ
- 配信画面にデスクトップ全体を映さない(通知・ブラウザのタブ・ファイル名から情報が漏れます)
- Webカメラの映像がプレビューとして画面に残っていないか、配信前に必ず確認する
- 撮影した写真・スクリーンショットの背景や反射にも注意する
配信環境で忘れがちな「ネット回線」
意外と見落としがちなのが、アップロード(上り)の速度と安定性です。ライブ配信は映像を送り続けるため、下り速度が速くても上りが不安定だと、視聴者側でカクついたり画質が落ちたりします。
- 可能なら有線LANでPCとルーターをつなぐ(無線より安定します)
- 配信中は、家族の大容量ダウンロードや同時視聴が重ならないようにする
- 回線を選ぶときは、上り速度と混雑時の実効速度もチェックする
せっかく良いアバターと機材をそろえても、回線が足を引っ張ると台無しです。配信を続けるつもりなら、回線環境の見直しも早めに検討しておきましょう。
よくある質問
Q. 絵が描けなくてもVTuberになれますか?
A. なれます。VRoid Studio(無料)のようにパーツを組み合わせて3Dモデルを作れるツールがありますし、イラストやモデリングを外注する方法もあります。
Q. 初期費用はどのくらい?
A. スマホアプリだけならほぼ0円から始められます。PCで本格的にやるなら、PC・マイク・Webカメラ・モデル制作費で数万円〜が目安です。
Q. 顔出しなしでも配信できますか?
A. できます。カメラを使わないアプリ(音声認識で口だけ動かすタイプ)を選べば、カメラ映像が事故で映り込む心配もありません。
Q. 企業所属(にじさんじ・ホロライブなど)と個人、どちらがいい?
A. 企業所属はモデル制作・宣伝・企画のサポートが受けられますが、オーディションがあり自由度も変わります。まず個人で始めて、活動の手応えを見てから考えるのも十分現実的です。
まとめ
今回は、VTuberとは何か、そして個人でVTuberになる方法をまとめました。
- VTuberはアバターで活動する配信者。2Dでも3Dでも、静止画でもOK
- 先駆者のキズナアイさんは2025年2月26日に音楽アーティスト「KizunaAI」として活動を再開
- アバターはLive2D・VRoid Studio(無料)・外注のいずれでも用意できる
- トラッキングはVTube StudioやAnimazeなど。配信はOBS Studio(無料)が定番
- まず体験したいならMirrativやカスタムキャストなどのスマホアプリから
モーションキャプチャの低価格化と配信文化の定着で、VTuberは「憧れて見るもの」から「やってみるもの」へと変わりました。推し活と合わせて、自分がなってみる側にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
