皆さんは、レジがないAIコンビニ「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」をご存じですか?入店から商品購入、決済までを、レジに並ばずに済ませられる画期的な店舗です。
ただし2026年に入って、この分野は大きく動きました。Amazonは2026年1月27日、Amazon GoとAmazon Freshの店舗をすべて閉鎖すると発表したのです。一方で、その心臓部だったレジなし技術のほうは、他社の店舗へ提供される形で今も拡大を続けています。
この記事では、アマゾン・ゴーの仕組みをわかりやすく解説するとともに、店舗とレジなし技術がその後どうなったのか、2026年9月時点の最新の動きもあわせて紹介します。
Amazon Go(アマゾン・ゴー)って?
アマゾン・ゴーは、2018年1月にアメリカ・シアトルで一般向けに開業した、レジのないAIコンビニです。
あらかじめスマホに専用アプリを入れておき、入口のゲートにQRコードをかざして入店します(電車の自動改札のようなイメージです)。あとは欲しい商品を手に取り、そのままゲートを出るだけ。店を出ると手に取った商品の分だけ自動で会計が完了しているので、レジに並ぶ必要がありません。
レジがなくても正確に会計できる仕組み
アマゾン・ゴーは、画像認識技術やAI(人工知能)を組み合わせた「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」という技術でレジをなくしました。現在この技術には、大きく2つの方式があります。
① カメラ+重量センサー方式
店内の天井には多数のカメラ、棚には重量センサーが設置されていて、どの人がどの商品を取ったのかを追跡します。一度手に取った商品を棚に戻し、別の商品を取り直しても、きちんと反映される仕組みです。
Amazonの説明によれば、この方式はお菓子や飲み物のように形が変わらない包装商品の追跡が得意です。逆に、たたんだり伸びたりする衣類やグッズは、カメラだけでは追いにくいという弱点があります。
② RFIDタグ方式(衣類・グッズ向け)
そこで登場したのが、商品にRFIDタグを付け、専用のゲート(レーン)を通るだけで自動会計する方式です。複数のアンテナで、客が持っているものをまとめて読み取ります。
Amazonによれば、1レーンで1分あたり最大6件を処理でき、これは従来のレジの5〜10倍のスピードにあたります。未払いの商品を検知してゲートを閉じる機能も組み込まれています。2026年1月には、数週間ではなく数時間で設置できる持ち運び可能なRFIDレーンが発表され、音楽フェスの物販やサーキットの売店といった期間限定の場所にも使われ始めました。
【2026年の転換】Amazon Goの店舗は全店閉鎖へ
登場時は「レジがなくなる未来のコンビニ」として大きな注目を集めたアマゾン・ゴーですが、その後は現実的な課題も見えてきました。Amazonは2023年に一部店舗を閉鎖し、2024年には食品スーパー「Amazon Fresh」でカメラ方式の利用を縮小して、商品をスキャンして買い物できるスマートカート「Dash Cart」への切り替えを進めています。
そして2026年1月27日、Amazonは自社ブランドの食品・コンビニ店舗をすべて閉じると発表しました。対象はAmazon Fresh 57店とAmazon Go 15店の計72店舗です。今後はホールフーズ・マーケットと、Amazon.comからの食品宅配に力を集中するとしています。10年にわたる実験を経て、Amazonブランドの実店舗については適切なモデルを見つけられなかったというのが同社の説明です。
手のひら認証「Amazon One」も終了
あわせて、手のひらをかざして本人確認・決済ができる「Amazon One」も2026年6月3日をもって終了と発表されました。理由として挙げられたのは「利用がなかなか広がらなかったこと」です。
ただし、他社の店舗で動いているJust Walk Outは止まりません。手のひら認証の機能だけが無効になり、支払いはクレジットカード・デビットカード・スマホのタッチ決済で続けられます。「レジなし店舗そのものがなくなる」という話ではない、という点は押さえておきたいところです。
数字で見る、レジなし技術のいま
店舗を閉じる一方で、技術のライセンス提供は伸びています。Amazonの発表によれば、Just Walk Outは5か国・360を超える第三者の拠点で稼働しており、直近1年で1,770万回の買い物・3,670万点が処理されました。2025年だけで、スタジアム・医療施設・大学などに150店以上が新たに導入されています。
設置しやすさも変わりました。2018年当時と比べて導入コストは50%以上削減され、設置期間は数週間から数時間へ短縮されています。500平方フィート(約46平方メートル)ほどのポップアップから、スタジアム内の常設店まで対応できるようになりました。

導入した施設からは、具体的な効果も公表されています。シアトルのLumen Fieldでは1試合あたりの総売上が47%増加、カリフォルニア大学サンディエゴ校では利用する学生が11%増えたうえで小売の盗難が83%減少しました。

フロリダ州の病院BayCare St. Joseph’s Hospitalでは、売店の待ち時間が25分から3分に短縮されたと報告されています。休憩時間が限られている医療スタッフにとって、22分の短縮は「買い物をあきらめずに済む」かどうかの差です。レジなし技術がいちばん力を発揮するのは、じつはこうした「並ぶ時間そのものが致命的な場所」なのだ、という見方ができます。
2025年にはフランスへ初進出し、2026年にはアラブ首長国連邦のコンビニエンスストアへの導入も予定されています。「レジを完全になくす」よりも「会計をスムーズにする」方向へと、現実的に進化してきたといえるでしょう。
日本ではどうなっている?
日本にアマゾン・ゴーは出店していません(2026年9月時点)。もともと出店がなかったため、今回の全店閉鎖によって日本の買い物が直接変わるわけではありません。
ただし国内でも、レジ無人化・省人化店舗の実証や導入は各社で進んでいます。駅構内の売店やオフィスビル内の店舗を中心に、カメラで商品を判別する方式、商品をまとめて読み取るRFID方式、カートにスキャナーを付ける方式など、複数のアプローチが試されています。セルフレジやスマホ決済まで含めれば、レジの短縮化はすでに私たちの日常に入り込んでいるといえます。最新の出店・サービス状況は各社の公式情報でご確認ください。
無人店舗のメリットと課題
レジなし店舗が広がれば、レジ待ちのストレスがなくなり、人手不足の解消にもつながると期待されています。とくに人口減少が進む日本のような地域では効果が大きいと考えられます。
その一方で、乗り越えるべき課題も少なくありません。方式ごとに得意・不得意があるので、整理しておきます。
| 方式 | 向いているもの | 課題 |
|---|---|---|
| カメラ+重量センサー | 包装された食品・飲料など、形が変わらない商品 | カメラとセンサーの設置・運用コストが大きい。衣類など柔らかい商品は苦手 |
| RFIDタグ | 衣類・グッズなど、形が変わる商品/期間限定の売り場 | 商品1点ずつにタグを付ける手間とタグ代がかかる |
| スマートカート | 買う点数が多い食品スーパー | カート自体の台数と管理が必要。買い物客の操作が前提 |
これに加えて、万引きなどの防犯対策、キャッシュレス決済のセキュリティ、そしてカメラで人の動きを追い続けることへのプライバシー面の受け止めも論点になります。手のひら認証のAmazon Oneが「利用が広がらなかった」として終了したことは、技術的に可能であることと、利用者に受け入れられることは別だという現実を示しているようにも見えます。アマゾン・ゴーのその後の動きは、こうした難しさも教えてくれます。
Amazon Goのよくある質問

Amazon Goはなくなったの?
Amazonは2026年1月27日に、Amazon GoとAmazon Freshの計72店舗をすべて閉鎖すると発表しました。今後はホールフーズ・マーケットと食品の宅配に集中する方針です。最新の店舗状況は公式情報でご確認ください。

お店がなくなるなら、レジなしの技術も消えるの?
いいえ。Just Walk Outはスタジアムや病院、大学など他社の施設に提供されていて、2026年時点で5か国・360拠点を超えています。むしろ導入は増えているのが実情です。

手のひらをかざす支払い方法があったよね?
「Amazon One」ですね。こちらは2026年6月3日をもって終了と発表されました。機器はそのまま残りますが手のひら認証は使えなくなり、支払いはカードやスマホのタッチ決済に切り替わります。

日本でレジなし店舗を体験できる?
Amazon Goは日本に出店していませんが、国内でもレジ無人化・省人化の店舗づくりは各社で進んでいます。導入場所は入れ替わりが早いので、最新の情報は各社の公式サイトで確認してみてください。
まとめ
レジなしで買い物できるAmazon Go(アマゾン・ゴー)の仕組みと、その後の動きを紹介しました。2026年に自社店舗はすべて閉じることになった一方、レジなし技術そのものは他社への提供という形で広がり続けています。
「未来のコンビニ」という華やかな見せ方から、「並ぶ時間が惜しい場所で、確実に会計を速くする道具」という地に足のついた使われ方へ。これからの買い物のかたちがどう変わっていくのか、引き続き注目していきたいですね。
