光回線は速くて便利な一方、引っ越しや乗り換えのタイミングで「解約したいけれど、いくらかかるのか分からない」と手が止まりがちです。手順そのものは難しくありませんが、お金の話だけは事前に調べておかないと、思わぬ請求で驚くことになります。ここでは解約の流れ、解約金(違約金)、工事費の残債、そして費用を抑える打ち手を、現行のルールに沿って整理します。

※光回線の解約に関するルールは、2022年7月1日施行の電気通信事業法施行規則の改正で大きく変わりました(後述)。実際の金額はプラン・契約時期によって違うため、最新の条件は必ず契約中の各社公式サイト・会員ページでご確認ください。


まず調べる4つの数字。ここで解約費用がほぼ決まります

解約の相談で「思ったより高かった」となるケースは、たいてい次の4つを確認しないまま連絡してしまったパターンです。窓口に電話する前に、会員ページか契約書面で押さえておきましょう。

  • ①契約の開始日と契約期間(2年・3年など。ここから更新月が決まります)
  • ②次の更新月がいつか(解約金が0円になる月です)
  • ③工事費の分割が何回残っているか(残っていれば一括請求の対象になります)
  • ④回線とプロバイダが同じ会社か、別契約か(別なら連絡先が2つになります)

この4つが分かれば、「今解約したらいくら」という金額はサポート窓口で即答してもらえます。逆にこれを聞かずに手続きを進めると、あとから残債の請求書が届いて慌てることになります。

解約の連絡先は「回線」と「プロバイダ」の2本立て

プロバイダの解約とメールアドレスの行方

まずは契約しているプロバイダの解約です。多くは会員ページから手続きできます。ネットでしか受け付けていないところもあるので、窓口の種類は先に確認しておきましょう。

見落としやすいのがプロバイダのメールアドレスです。解約すると原則として使えなくなり、そのアドレスで登録したサービスのパスワード再発行ができなくなります。メールだけを月数百円で残せる「メール継続プラン」を用意している会社も多いので、必要なら解約前に申し込んでおくと安心です。

回線事業者への連絡(光コラボなら1回で済むことが多い)

次に回線側です。ここで注意したいのが、回線とプロバイダのどちらか片方だけ解約しても、もう片方は自動では解約されないという点。ソフトバンク光・ドコモ光などの「光コラボ」やセットプランは1社にまとめて連絡すれば済むことが多いのですが、フレッツ光+別プロバイダの組み合わせなら、NTT東日本・西日本にも解約の連絡が必要です。片方だけ止めて、もう片方の料金を数か月払い続けていた——という相談は珍しくありません。

撤去工事とレンタル機器の返却

連絡して終わり、ではありません。宅内に引いた光ファイバーの撤去や、レンタルしているONU・ホームゲートウェイの返却が必要になる場合があります。撤去が必要かどうかは持ち家か賃貸か、建物の設備がどうなっているかで変わり、自己判断はできません。解約を申し出た時点で案内されるので、その場で「撤去工事は必要か」「返却する機器はどれか」「返送方法と期限は」を確認しておきましょう。機器を返し忘れると、機器の損害金を請求されることがあります。

解約でかかるお金は「解約金」と「工事費残債」の2種類

解約金の上限は月額利用料の1か月分相当に制限されています

2022年7月1日に施行された電気通信事業法施行規則の改正で、契約解除に伴って事業者が請求できる金額に上限が設けられました。一般消費者向けの契約では、期間拘束の解約金は1か月あたりの料金に相当する額が上限です(総務省の消費者保護ルール)。あわせて、利用者が遅滞なく解約できるようにするための適切な措置を講じないこと(引き止めなどで解約を長引かせる行為)も禁止されました。

つまり、この改正以降に結んだ契約なら、かつてのように1万円を超える解約金を請求されることは原則ありません。ただし2022年6月30日以前に結んだ契約は改正前のルールのままで、事業者が独自に定めた高めの解約金が残っている場合があります。長く同じ回線を使っている方ほど、ここは要確認です。自分の契約がどちらに当たるかは、契約書面や会員ページの契約日で判断できます。

「工事費実質無料」は免除ではなく、毎月の割引です

回線を引くときの工事費は、多くのケースで「実質無料キャンペーン」の対象になっています。ただしこれは工事費が消えるわけではなく、工事費を24回・36回などに分割し、同額を毎月割り引いているだけです。割引の途中で解約すれば割引も止まり、残った分割金=工事費残債が一括で請求されます。

たとえば工事費30,000円を24回払いにしているケースで、12か月目に解約すると、残る12回分の15,000円が請求される、というイメージです。「実質無料だから解約してもタダ」ではない——ここが解約時にいちばん誤解されるポイントです。

なお前述の2022年7月の改正では、この工事費などについても契約期間が満了した後は請求できないとされました。更新月まで待つ価値があるのは、解約金だけでなく残債の面でも同じというわけです。

費用を抑える3つの打ち手

打ち手1:急いでいないなら更新月に合わせる

定期的に訪れる更新月に解約すれば、解約金は発生しません。多くの回線では契約満了月、またはその翌月〜翌々月が更新月に設定されています。会員ページか請求書で次の更新月を確認し、数か月先なら待つ、遠いなら待たないと割り切って判断しましょう。解約金の上限が1か月分相当になった今、半年以上先の更新月をひたすら待つより、早めに条件のよい回線へ移ったほうが結果的に得になるケースも増えています

打ち手2:転用・事業者変更なら「解約」そのものを避けられます

NTT東西のフレッツ光から光コラボへ移るのが転用、光コラボ同士で移るのが事業者変更です。いずれもNTTの回線設備をそのまま引き継ぐため、撤去工事も新規の開通工事も原則不要で、ネットが使えない空白期間もほぼ生じません。2022年7月の改正では、こうした乗り換えの手続きに要する費用を旧事業者が請求することも制限されています。

乗り換えの型いま使っている回線工事とネットの空白
転用フレッツ光設備を引き継ぐため工事は原則不要
事業者変更光コラボ(ドコモ光・ソフトバンク光など)設備を引き継ぐため工事は原則不要
解約して新規契約独自回線など、別方式へ移るとき撤去・開通工事が入り、空白が出ることがある

転用・事業者変更には、今の事業者から「転用承諾番号」「事業者変更承諾番号」を自分で取得して、乗り換え先に伝える手続きが必要です。この番号には有効期限があり、期限を過ぎると取り直しになるので、番号を取ったら間を置かずに申し込みましょう。また、乗り換え先では契約事務手数料などの初期費用がかかるのが一般的です。金額は各社公式サイトでご確認ください。

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打ち手3:乗り換え先の違約金負担キャンペーンを使う

乗り換え先によっては、他社の解約金や工事費残債を一定額まで負担してくれるキャンペーンがあります。ただし多くは後日還元(キャッシュバックや商品券)で、しかも申請が必要です。負担してもらえる上限額のほかに、申請の方法・期限・証明書類(他社の請求書の写しなど)を必ず確認してください。申請を忘れて還元を取りこぼすのが、この手のキャンペーンで最も多い失敗です。

契約したばかりなら「初期契約解除制度」という選択肢もあります

「契約したばかりだけれど、聞いていた話と違う」という場合は、通常の解約とは別の道があります。光回線などの契約は初期契約解除制度の対象で、契約書面を受け取った日を初日として8日以内であれば、事業者の合意がなくても契約を解除できます(国民生活センター)。申し出は簡易書留など、送った記録が残る方法の書面で行うのが確実です。

ただしすべてが無料になるわけではありません。国民生活センターによれば、違約金の支払いは不要でも、それまでに利用したサービスの料金・すでに実施された工事の費用・事務手数料は支払う必要があります。「8日以内なら完全に白紙に戻る」と思い込まないようにしましょう。

解約の前後で起きやすいトラブルと相談先

国民生活センターには、光回線の電話勧誘に関する相談が今も継続的に寄せられています。典型的なのは、現在契約している事業者を名乗る電話を受けて話を進めたところ、実際にはまったく別の会社との契約になっていたというものです。解約や乗り換えを検討している時期は、こうした勧誘に反応しやすいタイミングでもあります。

電話で勧誘を受けたら、その場で承諾せず、事業者名・サービス名・連絡先を必ず確認してください。電話勧誘の場合、事業者には原則として契約前に書面を交付し、料金や提供条件を説明する義務があります。書面を送ってもらい、月額料金・契約期間・オプションの有無・解約金を落ち着いて読んでから判断すれば十分です。

困ったときは、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、お住まいの自治体の消費生活センター等を案内してもらえます。

光回線の解約でよくある質問(FAQ)

Q. 解約を申し込んでから、実際にネットが使えなくなるのはいつですか?

A. 申し込みから停止までは数日〜数週間かかることがあります。撤去工事が必要なら工事日の調整も入ります。乗り換えるなら新しい回線の開通日を確認してから旧回線の停止日を決めると、ネットが使えない期間を作らずに済みます。

Q. 工事費の残債は、必ず一括で払わないといけませんか?

A. 分割の途中で解約すれば、残債は原則として一括請求されます。ただし契約期間が満了した後は請求できないルールになっているため、更新月まで待てば残債ごと消えるケースがあります。乗り換え先の負担キャンペーンで相殺できる場合もあります。

Q. 契約が2022年7月より前か後か、どこを見れば分かりますか?

A. 契約書面や会員ページに記載された契約日(利用開始日)で判断します。分からなければ窓口で「この契約は解約金の上限規制の対象ですか」と聞けば教えてもらえます。判断に迷うまま解約日を決めないようにしましょう。

Q. 引っ越し先でも同じ回線を使うつもりです。解約したほうがいいですか?

A. 多くの事業者は「移転(引っ越し)手続き」を用意しており、解約せずに住所だけ変えれば解約金も残債も発生しないのが一般的です。ただし移転先が提供エリア外だったり、移転工事費がかかったりすることもあります。解約を申し出る前に、まず移転できるかを確認してください。

Q. 「今解約したらいくらか」を、電話で聞くときの言い方は?

A. 「本日時点で解約した場合の、解約金と工事費残債と機器返却にかかる費用の合計を教えてください」と、項目を並べて聞くのが確実です。あわせて「次の更新月はいつですか」と聞けば、待つべきかどうかもその場で判断できます。

光回線の解約に関する利用者の声

実際に解約を経験した方の投稿です。※以下は2018〜2019年当時のもので、解約金の上限が設けられる2022年7月の改正より前の投稿です。金額の水準は現在とは異なります。

後者のように工事費の分割回数(48回)が契約期間(3年=36か月)より長いと、更新月と完済月がずれて「どちらで解約しても何かを払う」状態になります。契約時に分割回数と契約期間をそろえられるかを見ておくと、こうした行き止まりを避けられます。

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