Google Wifiは、同じ機器を2台・3台と家の中に置くだけで「メッシュネットワーク」を作れるGoogleのWi-Fiルーターです。いま手元にある人は、Google Homeアプリで拡張ポイントを追加するだけで家全体をカバーするネットワークを組めます。
ただし、Google Wifi(2016年海外・2018年日本発売)はすでに販売を終了しています。後継の「Nest Wifi」も販売を終え、最新の「Nest Wifi Pro」は日本では発売されていません。これから新しく買う人は、現行のメッシュWi-Fi製品から選ぶのが現実的です。
メッシュの仕組みそのものは今も変わらないので、中継機との違いやメリット・デメリットは購入判断にそのまま役立ちます。仕組み、Google Wifiの機能、今の設定方法の順に整理します。
メッシュネットワークなら、家全体にWi-Fiを行き渡らせやすい
Google Wifiの一番の魅力は、メッシュネットワーク機能です。これまでWi-Fiが届きにくかった部屋でも、つながる可能性が大きく上がります。
自宅にWi-Fiの届かない場所があっても、ルーターを何台も別々に設置して、そのつど設定を管理するのは大変です。
メッシュネットワークなら、複数の機器を1つのネットワークとしてまとめて管理できます。台数を足すだけで、家全体にWi-Fiが行き渡るようにできるのが強みです。
では、そもそもメッシュネットワークとはどういう仕組みなのでしょうか。次で解説します。
そもそもメッシュネットワークとは?
「メッシュネットワーク」とは、いくつかの機器を設置して、お互いに通信させることによって、Wi-Fiの範囲を広げていくシステムのことです。その名の通り、網(メッシュ)のような形でネットワークを広げます。
従来の形であれば、Wi-Fiの電波が発せられるのは、電波の大元となるルーター1台だけでした。
メッシュネットワークでは、対応機器を複数設置することで、家の中に複数のWi-Fiポイントを作ることができるようになります。
つまり、次のような流れでWi-Fiに接続できる範囲を広げていきます。
- モデム(ONU)につないだメインの機器がWi-Fiの電波を出す
- 離れた場所に置いた別の機器(拡張ポイント)が、その電波で本体とつながる
- 拡張ポイントも同じ名前(SSID)のWi-Fiを出し、スマホやパソコンがつながれるようになる
機器同士はお互いの通信状態を見ながら、データの通り道を自動で選びます。そのため、家のどこにいても同じWi-Fi名のまま、つながりやすい機器経由で通信できるのです。
メッシュネットワークと中継機の違い
Wi-Fiに接続できる範囲を広げる機器としては、「中継機」もあります。どちらも電波を遠くへ届ける点は似ていますが、仕組みと管理のしかたが違います。
中継機は、親機であるルーターから届いたWi-Fiの電波を受け取り、それを中継して受信範囲を広げる機器です。多くの場合、親機とは別のWi-Fi名になったり、設定を別々に管理したりする必要があります。
一方でメッシュネットワークの機器は、全体が1つのシステムとして連携します。Wi-Fi名は1つで、どの機器につなぐかはシステムが判断してくれます。
家の中を移動してもつなぎ直しが起きにくく、設定もアプリでまとめて扱えるのが大きな違いです。中継機の選び方や置き場所はWi-Fi中継機の選び方と置き場所で詳しく比べています。
メッシュネットワークのメリット・デメリット
メッシュネットワークのメリット
接続台数が多くても負荷を分散しやすい
ルーター1台だけで家じゅうの機器を受け持っていると、接続する機器が増えるほど1台への負担が大きくなり、速度が落ちやすくなります。
メッシュネットワークでは、スマホやパソコンがそれぞれ近くのポイントにつながるので、負荷がある程度分散されます。Wi-Fiにたくさんの機器を接続している家庭ほど、効果を感じやすいでしょう。
ただし、インターネット回線そのものの速さ(契約している光回線など)を超えることはありません。「接続台数が増えても速度がまったく落ちない」わけではない点は理解しておきましょう。
通信が安定しやすい
メッシュネットワークでは、機器同士が通信状態を見ながら、スマホやパソコンを状態の良いポイントへ誘導します。
「Wi-Fiを選ぶ」といっても、私たちが何かを操作する必要はありません。システムが自動で判断するので、特に意識しなくても、つながりやすいポイントに接続できます。
パソコンやスマホを持ったまま部屋を移動しても、同じWi-Fi名のまま近くのポイントへ切り替わるため、場所による不安定さを減らせます。
Wi-Fiの切り替えがスムーズ
家の中を移動したとき、「遠くのWi-Fiにつながったまま、なかなか切り替わらない…」という経験はありませんか?
この「Wi-Fiの切り替え」は「ローミング」(携帯電話の世界では「ハンドオーバー」)と呼ばれます。もともとWi-Fiはルーター1台で使う前提だったため、切り替えは得意ではありませんでした。
メッシュ対応機器は、端末に「こちらのポイントのほうが近い」と案内する仕組み(バンドステアリングなど)を備えていて、切り替えをスムーズにしてくれます。ただし、最終的にどのポイントにつなぐかは端末側が決めるため、効き方は機種によって差があります。
設定が簡単で初心者でも扱える
Wi-Fiの接続というと、暗号化やパスワードの入力など、複雑でややこしいイメージがありますが、メッシュネットワークの設定はとても簡単です。
上級者向けの技術に思われがちですが、実際は従来のルーター+中継機の組み合わせより、ずっと簡単に設定できます。
初期設定の方法は製品によって違いがありますが、Google Wifiの場合はスマホのGoogle Homeアプリを使います。アプリの案内に沿って機器のQRコードを読み取り、Wi-Fi名(SSID)とパスワードを決めるだけで、基本の設定は終わります。
使い始めてからも、各ポイントの状態や接続中の機器はアプリで一元管理できます。ネットワークというと難しそうですが、初心者の方ほどおすすめできる仕組みです。
メッシュネットワークのデメリット
費用(価格)が中継機よりも高い
メッシュネットワークのデメリットとして一番目立つのは、中継機よりも費用がかかることです。
メッシュは最低2台(本体+拡張ポイント)をそろえて初めて効果が出るため、ルーター1台+中継機1台の組み合わせより、総額は高くなりやすくなります。広い家で3台、4台と増やしていけば、中継機とは比較にならない費用になることもあります。
なお、以前この記事で紹介していたGoogle Wifi・Deco M5・Orbiなどの価格は2019年当時のもので、機種自体も入れ替わっています。現行製品の価格は各メーカー・販売店でご確認ください。
とは言え、使っていて快適さと便利さを感じやすいのはメッシュのほうです。家の広さや困っている場所の数によっては、「コスパが高い」と思える可能性も十分あります。
ルーターのような詳細な設定ができない
メッシュネットワークは初期設定が簡単ですが、その分、一般的なルーターよりも細かい設定ができない製品が多くなっています。
例えば、現在ルーターでチャネルや帯域を手動で変更していたり、VPNを構築した運用をしていたりするのであれば、メッシュでは物足りず、使いにくいと思われるかもしれません。
いろいろなことを自動で行ってくれる反面、自分好みのWi-Fi環境が作りにくいということです。
ただし、これがデメリットになるのはネットワークに詳しい方だけでしょう。初めてWi-Fi環境を作る人にとっては、むしろ扱いやすさにつながります。
ブリッジモードで接続してしまうと、利用できない機能がある
Wi-Fiルーターには「ブリッジモード」という設定があり、Google Wifiでもブリッジモードを使うことができます。光回線のホームゲートウェイなど、ルーター機能を持つ機器がすでにある家で使われる設定です。
ただし、Google Wifiをブリッジモードにすると、次のような機能が使えなくなります。
- ゲストWi-Fi機能
- ファミリーWi-Fi(保護者による使用制限)機能
- メッシュネットワーク機能
一番の目的であるメッシュが使えなくなってしまうので、Google Wifiをブリッジモードで使うのはおすすめできません。利用する意味が薄くなってしまいます。
機器同士の無線接続ぶん、1台の高性能ルーターより遅くなることがある
メッシュネットワークは、複数台の端末をつないでも速度が下がりにくいといわれます。ただ、ルーターの近くで1台だけの端末を使う場面では、高性能な据え置きルーター1台のほうが速いことがあります。
理由の一つは、拡張ポイントと本体の間も無線でつながっているため、その区間の通信にも電波を使うことです。本体から離れたポイント経由の通信ほど、速度は落ちやすくなります。
Google Wifiは2本のアンテナ系統で送受信する「2×2」構成のWi-Fi 5(11ac)機器で、現行のWi-Fi 6/7対応ルーターと比べると、1台あたりの最大速度は見劣りします。拡張ポイントを有線LANでつなぐと、この弱点をある程度補えます。
Google Wifiとは?
Google Wifiは、Googleが開発したメッシュネットワーク対応ルーターです。2016年に海外で登場し、日本では2018年に発売されました。現在は販売を終了しています。
シンプルでインテリアになじみやすいデザインが特徴で、複数台をそろえることで広いメッシュネットワークを構築できます。
また、つないでいるパソコンやスマホ、家電などを管理する機能や、子どものインターネット利用を制限する機能もついています。
ソフトウェアは自動で更新される仕組みで、家庭用のメッシュルーターとしては機能のバランスに優れた製品でした。
Google Wifiの詳細情報
| 販売状況 | 販売終了(日本発売は2018年) |
|---|---|
| Wi-Fi規格 | Wi-Fi 5(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)・2×2 |
| メモリ | 512MB |
| 2.4GHz帯通信速度(規格上の最大) | 300Mbps |
| 5GHz帯通信速度(規格上の最大) | 866Mbps |
Google Wifiの特徴
Google Homeアプリでの管理(旧Google Wifiアプリ)
Google Wifiは当初、専用の「Google Wifiアプリ」で管理していました。現在は管理機能がGoogle Homeアプリに移行しており、Google Wifiアプリではネットワークの変更ができません(設定の閲覧のみ)。Google Homeアプリでは、次のようなことができます。
- Wifiポイントの追加・メッシュテスト
- 接続中の端末の確認
- 指定する端末のWi-Fi接続を一時停止する
- 指定する端末を優先的に通信させる
- ゲストWi-Fiの作成
- 速度テスト
Google Wifiアプリで設定したままの人は、Google Homeアプリへネットワークを移行しておきましょう。移行は短時間で終わり、Wi-Fiが途切れることもないとGoogleは案内しています。
また、つながっているパソコンやスマホを一括で管理できるため、手元のスマホだけでWi-Fiのオンオフを制御できるようになります。
例えば、子ども部屋のゲーム機だけWi-Fiを止める、といった使い方ができます。
通信を最適化する自動機能
Google Wifiには、Wi-Fiの状態を見ながら通信を最適化する機能があります。主な働きは次の2つです。
- 混雑していないWi-Fiのチャネルを自動で選ぶ
- 端末を2.4GHz帯と5GHz帯のうち、状態の良いほうへ誘導する(バンドステアリング)
周囲に同じチャネルを使うWi-Fiが多いと、電波が混み合って速度が落ちます。Google Wifiは状態を観察し、空いているチャネルへ自動で切り替えます。
また、5GHz帯は速度を出しやすく、2.4GHz帯は壁や距離に強いという特徴があります。Google Wifiは端末ごとに、その場で使いやすいほうの帯域へつながるよう誘導してくれます。
セキュリティ機能
Google Wifiに搭載されている主なセキュリティ機能は、次のとおりです。
- 確認付きブート(Verified Boot)
- ソフトウェアの自動更新
- Googleアカウントによるネットワークの管理
- WPA2(Google HomeアプリでWPA3移行モードも選択可)
特徴的なのが「確認付きブート」です。これは、Google Wifi本体が起動するときに、Googleが正規に署名したソフトウェア(ファームウェア)かどうかを確かめる仕組みです。改ざんされたソフトで動くのを防ぐためのもので、スマホアプリを選別する機能ではありません。
暗号化は標準ではWPA2ですが、Google Homeアプリで「WPA3」をオンにすると、WPA2とWPA3の端末が混在できる移行モードになります。WPA3は現在の家庭用Wi-Fiで推奨される新しい方式です。ただし、古い機器の一部はWPA3をオンにするとつながりにくくなることがあります。
なお、Google Wifiのセキュリティ更新の保証期間は、Googleの公表で「米国での販売開始から5年(2021年12月まで)」です。Googleは保証期間後も重要な更新を提供していると案内していますが、長く使うほど、現行製品への買い替えも視野に入れておくと安心です。家のWi-Fi全体の安全対策はWi-Fiのセキュリティ対策にまとめています。
ファミリーWi-Fi(保護者による使用制限)
「ファミリーWi-Fi」は、一般的なルーターの「ペアレンタルコントロール」と同じような機能です。アプリで端末をグループにまとめて登録すれば、複数の端末を一度にコントロールできます。
Google Wifiはもともと家庭向けのメッシュルーターとして作られているので、メッシュの次に大切な機能と言えるかもしれません。
例えば、子どもが2人いる家庭なら、2人分のスマホとゲーム機を1つのグループに登録して、「寝る時間になったらWi-Fiを止める」といったスケジュールを設定できます。
グループは複数作れるので、子どもの年齢や生活リズムが違っても、それぞれに合わせて対応できます。
また、アダルトサイトなど不適切なサイトをブロックするフィルタも用意されていて、グループ単位で有効にできます。
接続中の機器の通信状況を確認
Google Homeアプリでは、Wi-Fiにつながっているスマホやパソコン、タブレットなどの通信状況を確認できます。
どの端末がどれくらい通信しているかが分かるので、「子どもが夜中にゲームで通信していないか」といった確認にも使えます。ファミリーWi-Fiと組み合わせれば、利用のルールづくりもしやすくなります。
もちろん、使いみちは子どもの見守りだけではありません。
通信量の多い端末が分かれば、「この機器のせいで回線が混んでいた」という原因探しにも役立ちます。
Google Wifiでメッシュネットワークを構築する流れ
それでは、手元のGoogle Wifiでメッシュネットワークを組む流れを紹介します。Googleのヘルプに沿った、現在のGoogle Homeアプリでの手順です。
- モデム(ONU)がインターネットにつながっていることを確認する
- スマホに「Google Homeアプリ」をインストールし、家をセットアップする
- メインのGoogle WifiをイーサネットケーブルでモデムのWAN側につなぎ、電源を入れる
- ライトが青くゆっくり点滅したら、アプリの案内に沿ってQRコードを読み取る
- Wi-Fi名(SSID)とパスワードを決める
- 2台目以降は置き場所を決めて電源を入れ、アプリから拡張ポイントとして追加する
- 最後にアプリが「メッシュテスト」を行い、各ポイントの接続状態を確認して完了
手順が多く見えますが、アプリの案内どおりに進めれば難しくありません。光回線でPPPoE接続が必要な場合は、アプリのWAN設定でプロバイダーのIDとパスワードを入力します。
拡張ポイントは、本体と「困っている場所」の中間あたりに置くのがコツです。離しすぎると機器同士の通信が弱くなり、かえって遅くなります。置き場所の考え方はWi-Fiルーターの置き場所も参考にしてください。
ネットワークに入れるWifi機器は、Googleの目安では最大5台までがおすすめです。それ以上増やすと、かえってパフォーマンスが落ちることがあります。
メッシュネットワーク利用者の口コミ
Google Wifiが販売されていた2018年当時の、利用者の声です。
実家のネットワーク問題をGoogle WiFiで解決。メッシュネットワークやるな!そして設定も楽ちん!ここまで楽だと思わなかったわ。
実家はひかり電話を使ってる関係上ルータの交換はNGで、そこがネックになりそうだったのだけど全く問題無し。Googleが接続例をたくさん公開したら便利さが伝わるのでは? pic.twitter.com/u3zxiSQuVz— ささかま (@ElectricEye_) August 14, 2018
メッシュネットワーク用のWi-Fiポイントはアプリからボタンポチポチッとやるだけであっさり接続されてメッシュネットワークが構築されてしまう(´・ω・`)便利な世の中だ。これで家の中どこにいてもWi-Fi電波さいつよになった。
— Yasunori KAKU (@yasunorikaku) April 28, 2018
しょぼいWiFi環境から、高級なメッシュネットワーク完備の最高の自宅になったよ .゚+.((ヽ(・ω・)ノ))゚+.゚
— めがーぬ (@mh_megane_mh) June 27, 2018
まとめ
「自宅の中でWi-Fiに接続できない場所がある…」
「場所によってWi-Fiが遅くなる…」
そんな悩みを抱えている人にとって、メッシュネットワークはとても便利な仕組みです。
Wi-Fiの届く範囲を広げられるだけでなく、中継機よりも管理が楽で、家の中を移動しても同じWi-Fi名のまま使えるのが強みです。一方で、中継機より費用がかかる、細かい設定がしにくい、ブリッジモードでは本来の機能が使えない、といった弱点もあります。
Google Wifiはすでに販売終了の製品ですが、手元にあるなら、Google Homeアプリで拡張ポイントを足すだけで今もメッシュを組めます。これから買う人は、Wi-Fi 6以降に対応した現行のメッシュ製品を中心に選びましょう。現行モデルの選び方はWi-Fiルーターおすすめ比較(間取り・規格別の選び方)で整理しています。
出典:Google Home and Nest ヘルプ「Google Wifi をセットアップする」/「Google Wifi アプリは Google Home アプリに切り替わりました」(2026年9月確認)
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