海外でのスマホの高額請求は、契約中のプランに付いている海外定額の条件を出発前に確認しておけば、ほとんど防げます。見るのは、申し込みが要るかどうか、渡航先が対象か、何日まで使えるかの3つです(2026年10月13日時点の各社公式情報で確認)。

ここ数年で大手各社の海外向けサービスはかなり使いやすくなり、ahamoのように設定をオンにするだけで使えるプランも増えました。いま請求が膨らむ原因は、定額サービスへの入り忘れや、対象外の国での利用、音声通話の使いすぎがほとんどです。


高額請求のもとになるデータローミングの仕組み

データローミング

データローミング(国際ローミング)とは、日本の携帯電話会社が海外の通信会社と提携し、渡航先でもいつものスマホで通話やネットを使えるようにする仕組みのことです。

海外での通信は、日本国内の定額プランとは別の料金体系で計算されます。各社の海外定額を使わずに通信すると、従量制の料金や1日ごとの上限料金がかかるサービスが適用されることがあります。

地図アプリを開き、SNSに写真を上げ、動画が自動再生されるだけでも通信量は進みます。日本と同じ感覚で使うと、帰国後の請求で初めて気づくことになりかねません。

大手4社と楽天モバイルの海外定額(2026年10月時点)

自分のキャリアで何が使えるかが分かると、レンタルWi-Fiを借りるべきかどうかも判断できます。契約中のプラン名を手元に用意して読み進めてください。

ドコモの世界そのままギガは1時間200円・24時間980円から

世界そのままギガは、日本で契約しているプランのデータ量を海外でも使えるドコモのサービスです。申し込み自体は無料で、使った期間の分だけ定額料がかかります。

料金は2種類あります。200以上の国・地域が対象の通常プランは1時間200円、24時間980円で、2〜30日は1日あたり980円です。70以上の国・地域が対象の国・地域限定割プランは、期間が長いほど1日あたりの料金が下がります。

限定割プランの定額料は、3日間で2,480円、7日間で5,280円、30日間で22,480円という設定です。

ドコモ世界そのままギガの国・地域限定割プランの定額料。1日980円、2日1,780円、3日2,480円、5日3,980円、7日5,280円、14日10,480円、30日22,480円
70以上の国・地域が対象の「国・地域限定割プラン」は、期間が長いほど1日あたりの負担が下がります(2026年8月時点)。

高額請求の対策として役に立つのが、選んだ利用時間が過ぎるとデータ通信が自動で止まる仕組みです。データローミングをオンにしていても、利用開始の操作をしなければ通信は始まらないとドコモは案内しています。

ドコモ MAX・ドコモ ポイ活 MAX・ahamoは申し込み不要

ドコモ MAX、ドコモ ポイ活 MAX、ahamoの3つは、渡航先でデータローミングをオンにするだけで海外のデータ通信が使えます。世界そのままギガへの申し込みは要りません。

ドコモ MAXとポイ活 MAXは200以上の国・地域、ahamoは91の国・地域が対象です。2026年11月利用分までは、海外で使えるデータ量が月30GB、期間は最初の通信から15日までとなっています。

2026年12月1日からは、この海外で使えるデータ量が月最大40GBに増えます。15日を過ぎても通常速度で使える海外データ通信日数追加オプション(1日980円)も同じ日に始まり、16日目以降に申し込めます(ドコモ 2026年9月25日発表)。

ネット回線の先生ネット回線の先生

同じドコモでも、プランによって出発前にやることが申し込みか設定だけかに分かれます。契約中のプラン名を先に見ておくと迷いませんよ。

ソフトバンクの海外データ放題はプランごとに3日・5日・1ヵ月

ソフトバンクは2026年7月1日から海外データ放題(5日)と(3日)を始め、契約中の料金プランに応じて毎月一定の日数を追加料金なしで使える形になりました。利用には世界対応ケータイと海外あんしん定額への加入が必要です。

公式の対象プラン表では、データプランペイトク2とテイガク無制限が1ヵ月分です。ミニフィット2、ペイトク無制限/50/30、メリハリ無制限+などは5日、ミニフィット+やデータプラン20GB/4GBなどは3日という区分です。

1ヵ月分の扱いは、2026年12月以降にソフトバンクが別途案内する日までの条件として示されています。従来の海外パケットし放題も同じく2026年12月以降の案内日で提供を終える予定なので、ソフトバンクを使っている人は12月以降の告知を見ておいてください。

auはau海外放題、対象プランなら毎月15日分が無料

auは2024年3月15日に世界データ定額の受付を終え、同じ日からau海外放題を提供しています。古い記事で世界データ定額への申し込みを勧めていることがありますが、いまauで申し込めるのはau海外放題です。

料金は、事前予約なしなら24時間1,200円です。専用アプリで事前予約する予約割を使うと、アメリカ、ハワイ、韓国など17の国・地域は24時間800円、そのほかの対象国・地域は24時間1,000円になります。

auバリューリンクプランや使い放題MAX+などの対象プランなら、毎月15日分が無料です。無料で使える日数は適用料金で変わり、予約割800円なら最大22日、予約割1,000円なら最大18日、予約なしなら最大15日です。

見落としやすいのは、auでau海外放題を使うには無料のデータチャージへの加入が必要という条件です。未加入のまま海外で通信すると、1日最大2,980円の海外ダブル定額が適用されます。

楽天モバイルは毎月2GBまで追加料金なし

楽天モバイルのRakuten最強プランは、対応する国・地域で毎月2GBまで追加料金なしで海外のデータ通信が使えます。2GBを超えると最大128kbpsに落ち、1GBあたり500円でデータを追加できます。

使うにはmy 楽天モバイルで海外ローミングの設定をオンにしておく必要があります。2GBは地図や連絡には足りても、動画を見るには少ない量です。

出発前に見ておく3項目

キャリアごとに条件は違いますが、確認する項目は共通しています。

項目なぜ必要かどこで分かるか
申し込みが必要か設定をオンにするだけで使えるプラン(ドコモ MAX・ahamo等)がある一方、必要なのに未加入だと割高な料金になる各社マイページの契約内容・オプション欄
渡航先が対象エリアか対象外の国・地域では定額が適用されず、通信も自動では止まらない各社の対象国・地域一覧
使える日数・データ量の上限15日・30GB(ドコモ系は12月から40GB)・2GBなどの上限を超えると速度制限や追加料金になる各サービスの料金・提供条件ページ

定額に入っていても請求が膨らむ4つのケース

音声通話とSMSはどの定額サービスでも対象外

定額の対象はデータ通信だけで、電話番号を使った音声通話とSMSは含まれません。ドコモとソフトバンクの公式ページにも、いずれも明記されています。

海外からの発信や着信は、日本国内とは比べものにならない単価になります。家族や同行者との連絡は、データ通信を使うLINEなどの通話機能に寄せるのが基本です。

ネット回線の先生ネット回線の先生

着信を留守番電話で受けると、通話料がかかることがあります。気になる人は出発前に留守番電話をオフにしておくといいですね。

対象外の国・地域では通信が自動で止まらない

ドコモは、対象外の国・地域で使った場合は定額が適用されず料金が高額になる可能性があり、データ通信も自動では切断されないと注意を出しています。

自動停止が働くのは対象エリアの中にいるときだけと覚えておいてください。乗り継ぎで立ち寄る国、陸路で越える隣国、クルーズ船の上は、とくに対象外になりやすい場所です。

ahamoは15日を過ぎると最大128kbpsになる

ahamoは、海外で最初にデータ通信をした日(日本時間)から15日が過ぎると、翌日0時から通信速度が最大128kbpsに制限されます。2026年11月までは、データを追加購入しても日本に帰って通信するまで解除されません。

12月1日からは、前述の日数追加オプション(1日980円)を申し込めば16日目以降も通常速度で使えるようになります。それまでに2週間を超える旅程を組むなら、別の通信手段を併用する前提で計画してください。

ソフトバンクの日数枠は翌月に繰り越せない

ソフトバンクの提供条件では、請求月の末日に使える日数が残っていても、翌月へ繰り越せないとされています。月末から月初にまたがる旅程では、公式ページの月をまたいでの利用の説明を出発前に読んでおくと計算違いを防げます。

ネットを使わないなら設定だけで防げる

機内モード

現地では写真が撮れれば十分という人なら、話は簡単です。データローミングをオフにし、機内モードで通信機能そのものを止めておけば、うっかり通信することはありません。

とはいえ、地図、翻訳、配車アプリ、電子チケット、同行者との連絡と、いまの旅行はネットを前提に組み立てられています。まったく使わずに過ごすのは、現実にはかなり難しいでしょう。

ネットだけ使いたい場合は、機内モードのままWi-Fiだけをオンにして、ホテルや店舗のWi-Fiにつなぐ方法があります。使える場所が限られることと、後で触れるセキュリティの注意はセットで考えてください。

海外用レンタルWi-Fiはいまも選ぶ価値があるか

キャリアの定額が充実したことで、レンタルWi-Fiは不要という声も増えました。各社が公式サイトでWi-Fiルーターを持ち歩かなくていい点を前面に出しているのも事実です。

レンタルが向いている人

  • 家族やグループで行く人は、1台を複数人で使えるので人数が増えるほど1人あたりが安くなります
  • パソコンやタブレットも使う人は、Wi-Fiにつながる機器なら何でも接続できます
  • 長期滞在で大容量を使う人は、日数やデータ量の上限を受けにくいプランを選べます
  • スマホのバッテリーを温存したい人は、テザリングと違ってスマホの電池を減らしません

逆に、1人旅で短期、スマホだけで完結するなら、キャリアの定額のほうが荷物も手続きも少なく済みます。受け取りと返却の手間がないのは、それだけで大きな利点です。

レンタルWi-Fiで追加請求になる3つのパターン

海外用のモバイルWi-Fiルーターは、申し込み時に選んだ国で使うのが前提です。それ以外の場所で使うと定額の対象外となり、追加請求につながります。やりがちなのは次の3パターンです。

■ 乗り継ぎで申し込んでいない国に降りた

経由地での利用を申し込んでいなかったため、トランジット中の数十分で課金されるケースです。乗り継ぎがあるなら、目的地に着くまで電源を切っておくのが確実です。

■ 渡航先と近隣の国・地域を行き来した

中国、香港、マカオのように地理的には近くても、契約上は別の国・地域として扱われます。行き来する可能性があるなら、最初から複数国に対応した周遊プランを選んでおくと追加請求を避けられます。

■ 日本国内で電源を入れて接続した

つながるか試そうと、出発前に日本で接続してしまうケースです。日本での利用は申し込んだ国以外での利用とみなされ、追加請求の対象になり得ます。動作確認は電源が入るかどうかまでにとどめてください。

(参考元:グローバルWiFi|海外旅行で乗り継ぎ(乗り換え)をされるお客様へ )

返却忘れと付属品の紛失にも注意

レンタルには本体のほか、充電器や変換プラグ、ポーチなどの付属品が付いてきます。返却が遅れたり付属品をなくしたりすると追加請求の対象になるので、帰国前のパーツ確認と空港での返却を旅程に入れておきましょう。

紛失や盗難に備えた補償オプションを用意している会社もあります。高価な端末を預かるので、機器の申し込みと一緒に検討しておくと後で困りません。

主なレンタルサービスと選ぶときの見方

代表的なサービスを挙げますが、対応国、プラン内容、キャンペーンは頻繁に変わります。渡航先が対象かどうかと料金は、各社のページで申し込み前に必ず見ておいてください。

グローバルWiFi

対応国・地域の広さと、空港カウンターの多さが強みの大手サービスです。時期によって割引や特典が用意されることがあるので、申し込み窓口による違いも含めて比べてみてください。

>GMOとくとくBBからグローバルWiFiに申し込むメリット

【グローバルWiFi公式サイトはこちらから】

イモトのWiFi

知名度の高いレンタルサービスで、1日に使えるデータ量の違う複数のプランから選べます。どれくらい使うか読めない人は、容量を気にしなくていい無制限プランを選んでおくと現地で困りません。

【イモトのWiFiへの申し込みはこちらから】

WiFiBOX

Webで予約し、空港や駅に置かれた専用ボックスから端末を受け取り、返却もボックスに差し込むだけという無人受け渡し型のサービスです。カウンターの営業時間や行列を気にしなくていいのが利点です。

一方で、専用ボックスがない空港では受け取れません。出発と帰国に使う空港に設置があるかを、予約前に調べておいてください。

【WiFiBOXの申し込みはこちらから】

レンタル、eSIM、ローミングの比べ方は海外旅行のWi-Fiが必要かどうかの比較記事で、アメリカに行く人はアメリカ旅行向けの海外WiFiレンタル比較でも詳しく扱っています。

フリーWi-Fiを使うときに気を付けたいこと

海外旅行のネコ

高額請求とは別の話ですが、フリーWi-Fiには公共施設や店舗を装った偽のアクセスポイントが紛れ込むことがあります。旅行中は決済や予約サイトへのログインなど、大事な操作をする機会も多いので注意が必要です。

■ 渡航先でフリーWi-Fiを使うときの基本

  • 店舗や施設が掲示しているネットワーク名とパスワードを見てから接続する
  • 暗号化されていない(パスワード不要の)Wi-Fiでは、大事な通信をしない
  • フリーWi-Fi上でクレジットカード決済やID・パスワードの入力を避ける
  • 使わないときはWi-Fiの自動接続機能をオフにしておく
ネット回線の先生ネット回線の先生

すべてのフリーWi-Fiが危ないわけではありません。地図や調べものはフリーWi-Fi、支払いやログインはスマホの回線と、使いどころを分けるのがコツですよ。

出発前チェックリスト

  1. 契約中の料金プラン名を見て、海外定額の申し込みが要るかどうかを調べる
  2. 渡航先と乗り継ぎ地が対象エリアに入っているかを、各社の対象国一覧で見る
  3. 必要なら渡航前に申し込みや予約を済ませる(auの予約割など事前予約で安くなるものもある)
  4. 音声通話とSMSは対象外と理解し、連絡手段をアプリに寄せる
  5. 使わない時間帯はデータローミングをオフにする
  6. レンタルする場合は、受け取りと返却の場所と時間を旅程に組み込む

海外でのスマホ料金でよくある質問

Q. 定額サービスに入っていたのに、対象外の国で使ってしまったら?

A. 気づいた時点でデータローミングをオフにしてください。対象外の国・地域では定額が適用されず、通信も自動では切断されません。料金については、契約中のキャリアの海外向け問い合わせ窓口に相談するのが確実です。

Q. 家族4人で行く場合、全員分の海外定額が必要ですか?

A. キャリアの海外定額は回線ごとの申し込みと利用開始が原則です。1人だけ定額にしてテザリングで共有する、レンタルWi-Fiを1台借りるといった方法のほうが安くなることもあるので、人数と日数で計算してみてください。

Q. ahamoで3週間海外に行くと、16日目以降はどうなりますか?

A. 2026年11月までは16日目から最大128kbpsになり、帰国して日本で通信するまで戻りません。12月1日以降は、1日980円の海外データ通信日数追加オプションを申し込めば通常速度で使えます。

Q. 機内モードにしていれば、まったく課金されませんか?

A. 機内モードは通信機能をまとめて止めるので有効です。ただし機内モード中にWi-Fiを手動でオンにすると、Wi-Fi経由の通信は行われます(キャリアの料金はかかりません)。データローミングもオフにしておけば二重の備えになります。

まとめ

海外でのスマホの高額請求は、各社が定額サービスと自動停止の仕組みを整えたことで、昔ほど起こりにくくなりました。それでも請求が膨らむとしたら、原因はたいてい次のどれかです。

  • 必要な申し込みをしないままデータローミングをオンにした
  • 対象外の国・地域で使った(通信は自動で止まらない)
  • 定額の対象外である音声通話やSMSを使った
  • レンタルWi-Fiを申し込み外の国や日本国内で使った、または返却を忘れた

出発前に契約プランと対象エリアを見ておくだけで、そのほとんどは防げます。ドコモ系のプランは12月に海外の条件が変わるので、旅行の時期がまたがる人はとくに注意してください。

料金やキャンペーンはよく変わるので、申し込む前に各社のページで今の条件を見てください。