連休や夏休みに海外旅行へ——という方も多い時期ですが、毎年のように聞こえてくるのが「帰国後にとんでもない金額のスマホ利用料を請求された」という話です。

ただ、ここ数年で状況はかなり変わりました。大手キャリアの海外向けサービスが一気に使いやすくなり、正しく設定さえすれば「知らないうちに数万円」は起こりにくくなっています。逆に言えば、仕組みを知らないまま出発する人だけが損をする構図になりました。

この記事では、高額請求が起きるしくみと、2026年8月時点の各社サービスの現状、そして出発前にやっておくべき設定を整理します。


高額請求を生む「データローミング」とは?

データローミング

日本の携帯電話会社が海外の携帯電話会社と提携し、海外でもいつものスマホで通話やネットが使えるようにするしくみが「データローミング(国際ローミング)」です。

便利な反面、注意すべき点がひとつあります。海外での通信は、日本国内の定額プランの対象外だということです。何も対策せずにデータローミングをオンにすると、原則として使った分だけ料金が上乗せされていきます。

そして海外の従量料金は、日本国内の感覚とは桁が違います。地図アプリを開き、SNSに写真を上げ、動画が自動再生される——それだけで数日ぶん進んでしまう、というのが「海外あるある」でした。

ただし現在は、各社が「定額で使えるサービス」を用意しており、それを使えば従量課金の世界に足を踏み入れずに済みます。いまの高額請求は「知らずに使いすぎた」よりも、「定額サービスに入り忘れた」「対象外の国で使ってしまった」という原因のほうが目立ちます。

大手キャリアの海外向けサービスは、ここまで変わった(2026年8月時点)

まずは、いま自分が契約しているキャリアで何が使えるのかを確認しましょう。ここを押さえるだけで、レンタルWi-Fiを借りるべきかどうかの判断がつきます。

ドコモ「世界そのままギガ」は1時間200円・24時間980円から

ドコモの「世界そのままギガ」は、日本で契約しているプランのデータ量を海外でも使えるサービスです。申し込み自体は月額無料で、使った期間ぶんだけ定額料がかかります。

公式サイトによると料金は2種類です。200以上の国・地域が対象の「通常プラン」は1時間200円/24時間980円(2日~30日は1日あたり980円)。70以上の国・地域が対象の「国・地域限定割プラン」は、利用期間が長いほど割引が効きます。

限定割プランの定額料は、たとえば3日間で2,480円、7日間で5,280円、30日間で22,480円という設定です。

ドコモ世界そのままギガの国・地域限定割プランの定額料。1日980円、2日1,780円、3日2,480円、5日3,980円、7日5,280円、14日10,480円、30日22,480円
70以上の国・地域が対象の「国・地域限定割プラン」は、期間が長いほど1日あたりの負担が下がります(2026年8月時点)。

そして高額請求対策として重要なのが「自動ストップ」です。公式サイトには「利用開始後、各プランの利用時間が経過するとデータ通信が自動で止まります」と明記されており、データローミングをオンにしたままでも、利用開始操作をしなければ通信は発生しないと説明されています。

「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」「ahamo」は申し込みそのものが不要

ここは見落とされがちですが、大きな変化です。ドコモ公式は「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 MAX」「ahamo」については、渡航先でデータローミング設定をONにするだけで利用でき、『世界そのままギガ』の申し込みは不要と案内しています。

ドコモ MAX/ポイ活 MAXは、申し込み不要で200以上の国・地域で最大30GB・15日まで追加料金なし。ahamoは91の国・地域で、事前手続きも追加料金もなしに使えます(ahamo公式)。

ネット回線の先生ネット回線の先生

自分のプランがどれに当てはまるかで、やることが「申し込み」から「設定をオンにするだけ」に変わります。まずは契約中のプラン名を確認するのが最短ルートです!

ソフトバンク「海外データ放題」はプランごとに毎月3日/5日/1ヵ月

ソフトバンクは2026年7月1日に「海外データ放題(5日)」「海外データ放題(3日)」の提供を開始し、契約中の料金プランに応じて、毎月一定の日数ぶんを追加料金なしで使い放題にできる形になりました(利用には「世界対応ケータイ」と「海外あんしん定額」への加入が必要)。

公式の対象プラン表によると、「データプランペイトク2」「データプランテイガク無制限」は1ヵ月分、「ミニフィット2」「ペイトク無制限/50/30」「メリハリ無制限+」などは5日、「ミニフィット+」「データプラン20GB/4GB」などは3日という区分です。対象は200以上の国と地域とされています。

あわせて重要な告知もあります。ソフトバンク公式は「2026年12月以降の当社が別途ご案内する日をもって『海外パケットし放題』の提供を終了する」としています。従来の「海外パケットし放題」を前提に考えている方は、切り替えの案内を必ず確認してください。

au「世界データ定額」は受付終了。いまは「au海外放題」

auは「世界データ定額」の受付を2024年3月15日に終了し、同日から「au海外放題」の提供を開始しています(世界データ定額はUQ mobileでは引き続き利用できます)。古い記事で「世界データ定額に申し込む」と説明されていることがありますが、auで新たに申し込めるのはau海外放題です。

料金は、事前予約なしなら1,200円/24時間(1〜8日間)。専用アプリから日本国内で事前予約する「予約割」を使うと、アメリカ・ハワイ・韓国など17の国・地域は800円/24時間、その他の対象国・地域は1,000円/24時間になります(1〜30日間)。予約の変更・キャンセルは利用開始の1時間前まで無料で、この料金に消費税は加算されません。

さらにauの対象料金プラン(auバリューリンクプラン、使い放題MAX+など)なら毎月15日分が無料です(月18,000円を上限に割引)。無料で使える日数は適用料金で変わり、予約割800円/24時間なら最大22日、1,000円/24時間なら最大18日、予約なし1,200円/24時間なら最大15日となっています。

高額請求を避けるうえで見落としやすいのが、auで利用するには無料の「データチャージ」への加入が必要という条件です。未加入のまま海外で通信すると、au海外放題ではなく従量制の「海外ダブル定額」が適用されます。金額・対象国は改定されるため、渡航前に必ずau公式の海外サービスページでご確認ください(本記事の記載は2026年8月18日時点、au公式ページの掲載内容は2026年7月17日時点のものです)。

まずはこの3点を確認する

キャリアごとに条件は違いますが、確認すべきポイントは共通しています。

確認する項目なぜ大事かどこで分かるか
申し込みが必要かプランによっては設定オンだけで使える(ドコモ MAX・ahamo等)/必要なのに未加入だと従量課金になる各社マイページの契約内容・オプション欄
渡航先が対象エリアか対象外の国・地域では定額が適用されず、通信も自動では止まらない各社の対象国・地域一覧
使える日数・データ量の上限日数上限・30GB・15日などの制限を超えると速度制限や追加料金になる各サービスの料金・提供条件ページ

それでも高額請求になる「4つの落とし穴」

落とし穴1:音声通話とSMSは、どの定額サービスでも対象外

これはドコモ・ソフトバンクの公式ページに、いずれも明記されています。定額の対象は「データ通信」だけで、電話番号を使った音声通話・SMSは含まれません。

海外からの発信・着信は日本国内とは比べものにならない単価になります。連絡はデータ通信を使うLINEなどの通話機能に寄せるのが基本です。

ネット回線の先生ネット回線の先生

着信して留守番電話サービスで応答すると通話料がかかることがあります。徹底したい人は、出発前に留守番電話をオフにしておきましょう!

落とし穴2:対象外の国・地域では「自動で止まらない」

ドコモ公式の注意書きには、「対象外の国・地域で利用する場合、データ通信が適用を受けず、料金が高額となる可能性があります。また、データ通信は自動で切断されません」とはっきり書かれています。

ここがいちばん危険なポイントです。安全装置が働くのは「対象エリアの中にいるとき」だけだと理解しておきましょう。乗り継ぎで立ち寄る国、陸路で越える隣国、クルーズ船上——このあたりは特に注意が必要です。

落とし穴3:ahamoは「15日」を超えると速度が落ちる

ahamo公式によると、海外で最初にデータ通信を利用した日(日本時間)から15日が経過すると、翌日0時(日本時間)から通信速度が最大128kbpsに制限されます

注意したいのは、この制限はデータを追加購入しても解除できず、帰国して日本でデータ通信を行うまで戻らないと案内されている点です。また、月に使えるデータ量は国内と合算で30GBまで(大盛りオプションに加入していても海外は30GBまで)です。

2週間以上の長期滞在なら、ahamoだけに頼らず別の手段を併用する前提で計画してください。

落とし穴4:ソフトバンクの「使える日数」は翌月に繰り越せない

ソフトバンクの提供条件には「各請求月の末日時点において利用可能期間が残存していたとしても、翌請求月以降に繰り越すことはできません」と記載されています。

月をまたぐ旅程では、料金の考え方が変わる点にも公式が注意を促しています。月末から月初にかけて滞在する場合は、公式ページの「月をまたいでのご利用について」を出発前に読んでおきましょう。

通話やネットを使わないなら、設定だけで確実に防げる

機内モード

「現地では写真だけ撮れればいい」という方なら、話はとても簡単です。設定でデータローミングをオフにし、さらに「機内モード」で通信機能そのものを遮断すれば、うっかり通信してしまうことはありません。

とはいえ、地図・翻訳・配車アプリ・電子チケット・同行者との連絡と、いまの旅行はネット前提で組み立てられています。「まったく使わない」を貫くのは、現実的にはかなり難しいでしょう。

ネットだけ使いたい場合は、機内モードをオンにしたままWi-Fiだけを有効にし、ホテルや店舗のWi-Fiにつなぐという方法があります。ただし使える場所が限られること、後述するセキュリティ上の注意があることは押さえておいてください。

モバイルWi-Fiルーターのレンタルは、いまも選ぶ価値があるか

キャリアの定額サービスが充実したことで、「レンタルWi-Fiは不要では?」という声も増えました。実際、ソフトバンクもドコモも公式ページで「Wi-Fiルーターの持ち歩きが不要」という点を訴求しています。

それでも、レンタルが有利な場面は残っています。

レンタルが向いているのはこんな人

  • 家族・グループで行く:1台を複数人で共有できるため、人数が増えるほど1人あたりが安くなる
  • パソコンやタブレットも使う:Wi-Fiにつながる機器なら何でも接続できる
  • 長期滞在・大容量を使う:日数上限やデータ上限の制約を受けにくいプランを選べる
  • スマホのバッテリーを温存したい:テザリングと違い、スマホの電池を消耗しない

逆に、1人旅・短期・スマホだけで完結するなら、キャリアの定額サービスのほうが荷物も手続きも少なくて済みます。受け取りと返却の手間がゼロなのは、それ自体が大きな価値です。

レンタルWi-Fiで高額請求になる3つのパターン

海外乗継便をご利用の際のご注意

海外用モバイルWi-Fiルーターは、申し込み時に申告した国での利用が前提です。それ以外で使うと定額の対象外となり、追加請求につながります。うっかりやりがちなのは次の3パターンです。

■ 乗り継ぎで、申告していない国に降り立った

経由地での利用を申し込んでいなかったために、トランジット中の数十分で課金されるパターンです。乗り継ぎがある場合は、現地に着くまで電源を切っておくのが確実です。

■ 渡航先と近隣の国・地域が近い

「中国」「香港」「マカオ」のように地理的には近くても、契約上は別の国・地域として扱われます。行き来する可能性があるなら、最初から複数国に対応したプランを申し込んでおきましょう。

■ 日本国内で電源を入れて接続してしまった

「ちゃんとつながるか確認しよう」と出発前に日本で接続してしまうケースです。日本での利用は申告国外の利用とみなされ、追加請求の対象になり得ます。動作確認は電源が入るかどうかまでにとどめてください。

ネット回線の先生ネット回線の先生

レンタル会社によっては、2か国以上を回る人向けの周遊プランがあります。旅程が複数国にまたがるなら、そちらを選ぶほうが安心ですね!

(参考元:グローバルWi-Fi|海外旅行で乗り継ぎ(乗り換え)をされるお客様へ

返却忘れ・付属品の紛失にも注意

レンタルには本体のほか、充電器や変換プラグ、ポーチなどの付属品が付いてきます。返却が遅れたり付属品を紛失したりすると追加請求の対象になるため、帰国前のパーツ確認と、空港での返却を忘れずに。

紛失・盗難に備えた補償オプションを用意している会社もあります。心配な方は、機器の契約と一緒に検討しておくと安心です。

主なレンタルサービスと、選ぶときの見方

代表的なサービスを挙げますが、対応国・プラン内容・キャンペーンは頻繁に変わります。渡航先が対象かどうかと最新料金は、必ず各社の公式サイトでご確認ください。

グローバルWiFi

対応国・地域の広さと、空港カウンターの多さが強みの大手サービスです。5G対応エリアも拡大しています。時期によって割引や特典が用意されることがあるため、申し込み窓口による違いも含めて比較してみてください。

【海外旅行者必見!】GMOとくとくBBからグローバルWiFiに申込むメリットは?

【グローバルWiFiキャンペーンサイトはこちらから】

イモトのWiFi

知名度の高いレンタルサービスで、1日に使えるデータ量の異なる複数プランから選べるのが特徴です。「どれくらい使うか読めない」という方は、容量を気にしなくてよいプランを選んでおくと安心でしょう。

イモトのWiFiへの申し込みはこちらから

WiFiBOX

Webで予約し、空港などに設置された専用ボックスから端末を受け取り、返却もボックスに差し込むだけ、という無人受け渡し型のサービスです。カウンターの営業時間や行列を気にしなくてよいのが利点です。

一方で、専用ボックスが設置されていない空港では受け取れません。出発・帰国する空港に設置があるかを、予約前に必ず確認しておきましょう。

WiFiBOXの申し込みはこちらから

フリーWi-Fiを使うときに気を付けたいこと

海外旅行のネコ

高額請求とは別の話になりますが、フリーWi-Fiには公共施設や店舗を装った偽のアクセスポイントが紛れ込むことがあります。旅行中は決済や予約サイトへのログインなど、重要な操作をする機会も多いだけに注意が必要です。

渡航先でフリーWi-Fiを使うときの基本

  • 店舗や施設が掲示しているネットワーク名・パスワードを確認してから接続する
  • 暗号化されていない(パスワード不要の)Wi-Fiでは、重要な通信をしない
  • フリーWi-Fi上でクレジットカード決済やID・パスワードの入力を避ける
  • 使わないときはWi-Fiの自動接続機能をオフにしておく
ネット回線の先生ネット回線の先生

もちろん、すべてのフリーWi-Fiが危険というわけではありません。使いどころを分けるのがコツですよ!

出発前チェックリスト

  1. 契約中の料金プラン名を確認し、海外定額の申し込みが要るか要らないかを調べる
  2. 渡航先(と乗り継ぎ地)が対象エリアに入っているかを各社の対象国一覧で確認する
  3. 必要なら渡航前に申し込み・予約を済ませる(早割がある場合も)
  4. 音声通話・SMSは対象外と理解し、連絡手段をアプリに寄せる
  5. 使わない時間帯はデータローミングをオフにする習慣をつける
  6. レンタルする場合は、受け取り・返却の場所と時間を旅程に組み込む

海外でのスマホ利用について、よくある質問

Q. 定額サービスに申し込んだのに、対象外の国で使ってしまいました

ドコモ公式が注意しているとおり、対象外の国・地域では定額が適用されず、通信も自動では切断されません。気づいた時点でデータローミングをオフにし、料金については契約中のキャリアの海外向け問い合わせ窓口に確認してください。

Q. 家族4人で行きます。全員ぶんの定額を申し込むべきですか?

キャリアの海外定額は回線ごとの申し込み・利用開始が原則です(ドコモ公式も「ご利用回線ごとにお申込みと利用予約または利用開始操作が必要」と案内しています)。人数が多い場合は、1人だけ定額にしてテザリングで共有する、あるいはレンタルWi-Fiを1台借りるほうが安くなることもあります。旅程と人数で計算してみてください。

Q. 2週間を超える滞在では、何に気を付ければいいですか?

日数上限のあるサービスに注意してください。ahamoは初回利用から15日で速度制限がかかり、帰国して日本でデータ通信をするまで解除されません。ソフトバンクの日数枠も翌請求月に繰り越せません。長期滞在は、レンタルWi-Fiや現地で使える手段の併用を前提に考えるのが安全です。

Q. 機内モードにしていれば、絶対に課金されませんか?

機内モードは通信機能をまとめて遮断するため、有効な手段です。ただし機内モード中にWi-Fiだけを手動でオンにした状態では、Wi-Fi経由の通信は行われます(この通信自体にキャリアの料金はかかりません)。確実を期すなら、機内モードに加えてデータローミングもオフにしておくと二重の備えになります。

まとめ:怖いのは「使いすぎ」ではなく「確認不足」

海外でのスマホ高額請求は、かつてのように「知らないうちに何十万円」というものではなくなりつつあります。各社が定額サービスと自動停止のしくみを整えたためです。

それでも請求が膨らむとしたら、原因はたいてい次のどれかです。

  • 必要な申し込みをしないままデータローミングをオンにした
  • 対象外の国・地域で使った(自動では止まらない)
  • 定額の対象外である音声通話・SMSを使った
  • レンタルWi-Fiを申告外の国や日本国内で使った/返却を忘れた

裏を返せば、出発前に契約プランと対象エリアを確認しておくだけで、そのほとんどは防げます。なお料金・提供条件は改定されるため、渡航前には必ず各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。

楽しみにしていた旅行が、帰国後の請求書で台無しにならないように。準備は5分で終わります。